コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Break Youth +実話+ ( No.77 )
- 日時: 2010/05/28 19:04
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: MT1OWC7F)
- 参照: 何もない事が幸せなのなら この世界から僕を連れ去ってよ(by.Lost Story
第六十六話『持ちきられた話』
噂って、本当怖いよね。
——改めて思う、今日この頃。
*放課後*
「はぁ……」
なんか、疲れたぜ。
すれ違いざまに、望に「転校する人だ」って言われるし……。
和美、お願いだからこれ以上はバラさないでください……。
私は心の中で小さく念じた。
しかし、
「にゃんこ先生っ!!」
「へ」
にゃんこ先生——……私のあだ名を呼ばれたので振り返る。
あぁ、なんか懐かしいなぁ……このあだ名。
五組のころ、女子に言われてたっけ。
そうだ、この懐かしいあだ名をいう人は——。
「……美優奈……麻由」
五組のころ同じクラスだった、美優奈と麻由だ。
二人は現在四組——。
怜緒と同じクラス。
私は振り向いて首を傾けた。
「久しぶり、どうし」
「にゃんこ先生、転校するって本当!?」
「……」
一気に、気分が落ちた。
この二人までもが知ってたか……。
私は小さくため息をついた。
「転校するんじゃなくて、す」
「今、四組はにゃんこの転校の話で持ちきりだよ!?」
「——え」
四組は転校の話で持ちきり……ですと?
四組——……?
ヨ ン ク ミ!?
「四組げすかっ!?」
「げすって……。てか、にゃんこ先生本当に転校しちゃうの?」
「い、いや……まだわかんない……んだけど」
『転校しない』なんて、もちきりになってるなら尚更言えない。
いや、言いづらい。
しかも、四組にだよ——?
怜緒がいるクラス、だよ!?
「……四組の人、みんな知ってるの?」
「うん、ほとんどの人が知ってる」
ほとんどの人——。
ってことは、当然怜緒も知ってるよね?
望の口から聞いてると思うし……。
私は考えながら、廊下を歩いた。
その時ちょうど、怜緒とすれ違った。
「……」
君は、私が転校すると聞いてどう思った?
何とも思わない?
嬉しい?
悲しい?
びっくりした?
そんなの考えなくたって、答えはもう出てる。
君は私が転校して嬉しいに決まってる。
私のうっとおしい想いから、開放されるんだから——……。
私は、立ち止まって君の方を振り向いた。
「……あ……」
私が振り返ると同時に、君も振り返った。
そして目が合った。
「……っ」
どうして、君も振り向いたの?
今は君の顔を見ると、泣きそうになる。
転校する、と思われてるからこそなんだか苦しくて、
私が転校して嬉しい、と思われてるからこそ切なくて、
本当は転校しないからこそ、悲しくて。
私が「本当は転校しないんだ」と言ったら、君はどんな顔をするの?
「……」
私の心の傷——。
それは、少しずつ大きくなっていくのがわかった。