コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ・Cheryy・ —2つの果実— ( No.44 )
- 日時: 2010/05/17 14:53
- 名前: 香織 ◆H9YqiiQtJw (ID: NOphWmYz)
- 参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/
番外編「小学生★ライフ」
孝文Side
帰り道。
俺は龍夜と慶一と一緒に、帰っていた。
……なんか、慶一の顔が、尋常じゃないほどに、ニヤニヤしてる……。
「おい、お前……ついに頭イったか?」
龍夜が心配そうな顔で、慶一の顔を覗きながら、呟いた。
慶一は、眉をひそめる。
「ちげーよ!! 今日、三木と遊ぶんだよ!!」
三木と……遊ぶ……だと?
俺は、慶一に質問してみた。
「え、三木と2人でか?」
「いや、龍夜もいる」
「田野は?」
俺が聞くと、慶一は少しためらった。
だが、数秒して質問に答えてくれた。
「……あいつは、2番目だよ。1番はやっぱ、三木」
「ひゅう〜やるね」
龍夜は、ニコニコしながら慶一をからかった。……はぁ!? 1番とか2番とか、順位付けすんなああ!
せっかく女の子が、お前のことを好きでいてくれてるのに、なんかムカつくぞ、態度がああ!
でもまあ……あれだな。
「三木は……かわいいもんな! わかるわk……」
慶一がすごい形相で、俺を睨んできた。
俺は思わずひるんで、俯く。
「黙れ巨人」
「うるせーな」
慶一から「巨人」やらなんやらいわれると、必要以上にムカつくな。
「大体よ、3人で遊ぶとかなにすんだよ、することねえだろ、つまんねぇの」
「あるし」
「ってことで孝文、ばいばい」
「あばよ!!」
龍夜と慶一は、ケラケラ笑いながら、逃げるようにして2人だけで、走って帰った。
俺は軽く舌打ちをすると「バカ野朗」と呟いた。
**
俺は家に帰って、なんとなく暇だったので、外に出た。
……公園にいけば、誰かいるかもだし、遊ぶか。
そう思いながら、近くの公園に自転車を走らせていた……その時だった。
「やだぁ、こんなとこで会うなんてラッキー♪」
「花梨……」
キャピキャピした、甲高い声とわりと冷静な、女子の声が聞こえてきた。
俺はとっさに、声のするほうをみた。
「……あ、む、村井……」
「三井君……」
困った顔をした村井が、ぶりっこ死神最狂女に、背後から抱きつかれている。
その光景は、すごく異様だったし、気持ちが悪かった。
「三井君助けて……」
村井は、ぶりっこ死神(以下略)を払いのけると、俺のほうまで走ってきた。
「えっ、ちょちょちょっ!」
俺が自転車から降りると、村井は俺の背中にかくれた。
ぶりっこが、どんどんと近寄ってくる。
「紗江香ぁああ〜! なんで隠れるのぉ〜? ……もういいわっ、三井君〜っ」
「うげぇぇぇえ」
俺は、すぐに自転車にのると、自転車をこいだ。後ろから村井も、自分の自転車を走らせてくる。
一方ぶりっこは、自転車を用意するには時間がなかったため、走りだ。
俺たちは公園へいくと、すぐに自転車を置いて、公園の隅のほうまで走った。
「はぁっ……疲れた」
「花梨は疲れる……」
村井は、息をきらせながら、地面にへたりこんでしまった。
……俺はというと、地べたにすわりながら、公園を見回した。
……遊べそうな奴いねー。
まあいいや、村井と話でもしようかなぁ? ……まあ、話せそうな奴ほかにくるまで。
「なあ村井」
「何?」
改めて、こうやって女子と話すのって、少しだけ緊張する。
「……お前どうして、林野といるんだよ」
「えっ……そういわれてもなあ、やっぱ成り行き?」
「へえ……」
「引越ししてきた頃から、ずっと一緒だし。性格はまああれだけど、一緒にいると、結構頼りになるときもあるから……」
頼り? あいつが……ちょっとわかんねえな。俺は疑問に思うが、村井は話を続けた。
「ほら、男子とかから軽く虐められたら、あの子、追っ払ってくれるし」
「ああ……」
なるほど、それならわかるな。あいつが来たら、皆逃げるしな。
「これからも、花梨とは友達でいたいし!」
「そっか……」
村井の笑顔は、本物だった。本当に花梨と友達でいたいのか……。俺は納得して、空をみあげた。
「……話かわるけど、三井君って好きな子いる?」
「はっ……えっ、どふぇぁっ!?」
あまりにも突然な話題だったので、俺は変な声をだしてしまった。村井は「え」と、声を漏らす。
「……やーあのさー、うちいるんだよねー」
おおおお!! もしかしてこれは、告白フラグかっ! ドラマとかでよくみる、その……。
「だっ、誰だよ……」
ここで「今、目の前にいる人」とかなんとかいわれたりして……。しかし、俺の期待は、あっさりと裏切られた。
「慶一……なんだよね、あっ……これは前にいたってことになるか!! あはは」
「え」
また慶一かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
なんだよあいつ、モテすぎ、なんなんだよっ! ……どうせバレンタインとかいっぱいもらってるし!!
「好きだったけど、あの人、英恵ちゃんとか美羽が好きってきいて、それで諦めた」
「へぇ」
なんか俺さっきから「へぇ」とか「え」とか「ああ」とかしかいってないな……。
「悔しかったけど、まああの子たちのほうがかわいいし……ね?」
「ほぉ」
ああやっぱり俺は、2つ返事しかできねぇのかぁぁぁぁぁっ! ここでさ、モテるやつはさ「お前も充分かわいい」とかいうんだよな……。
あれっ? もしかしてこれ今チャンス!? いえる? チャンス!?
「おっ……おまえもじゅ——ふがぶっ」
頬に衝撃がはしった。俺はそのばに倒れる。
「きゃあっ、三井君大丈夫!?」
「うう……な、なんとか……」
「うわー孝文ぃ」
耳元で、突然男子の声がした。俺はそいつを睨んでやろうとそいつの顔をみた。
「孝文、女子といちゃつくなよん」
龍夜だった。俺に当たったボールを拾うと、俺に「孝文のくせに」と嫌味をいって、遊んでた場所に戻った。
ん……? あれは……慶一、三木、龍夜ではないかっ! あいつら公園で遊んでたのか、ってか今来たばっかりか……。
「噂をすればやってくるって、本当だよね」
村井が目を見開いて、遠方で遊んでいる3人をみつめた。
「おー……」
女子にモテる日は……やってくるのでしょうか……。
続く