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Re:  ・Cheryy・ —2つの果実— ( No.56 )
日時: 2010/05/17 20:03
名前: 香織 ◆H9YqiiQtJw (ID: NOphWmYz)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/




第60話




 朝。私は教室にはいった。すると、すぐに絵磨と亜由奈がやってきた。

 
 「あ、おはよー!!」
 「おはよ」


 絵磨と亜由奈が挨拶してきてくれたのは、わかった。けど、何故か私は固まったままだった。


 「……香織?」
 「どーしたの!?」
 「いや、なんでもないよ!!」


 私は慌てて2人にそういうと、自分の席に座る。……昨夜、優志のことがずっと気になっていた。
 これは、恋なのだろうか……。私の中には、まだ少しだけ、高井という存在が残っている。



 「……はーあ」



 私は、教室の隅に目をやった。楽しそうに会話する、木上さんと高井。
 木上さんは気付いてないらしいが、高井は今、猛アピール中ならしい。


 「……なんだかな」


 私は、別のことを考えようと努力した。……狂の給食なんだっけ?
 あ、ハンバーグだっけ? ……違うな……そういえば、優志はハンバーグすきって……。


 「あーもう!! なんで優志が……」
 「優志が……何?」
 「わわっ!!」


 突然、絵磨の声がした。絵磨は、ニコニコ笑顔を浮かべていた。


 「悩みなら吐き出せよー」
 「……いや悩みというか……優志が……」
 「好きになったとか!?」


 絵磨は笑顔の表情1つ変えずに、言った。……う。なんか改めていわれると……ドキドキする。



 「好きってか……」
 「好きなんでしょ、それは!!」


 絵磨は、私の背中をぽんぽんと、軽く叩いた。そうかもしれない。でも……。


 「好きなら好き!! 自分の気持ちに正直になりなさい!!」


 絵磨は、力強い声で私にいった。……なら、好きでいいかな?




 「だってさ、失恋とか……」
 「失恋してないのに、なんでそんなこというの?」


 次にいったのは、亜由奈だった。亜由奈は真顔で、私をみつめる。



 「私なんかが、恋が実るわけないよ!!」
 「……あんたね、そうやって最初から決め付けるつもり? やってみないとわかんないのに」



 ……そうかな? この恋……実りますか? 私でも、努力すれば、実ることができますか?



 「頑張ってよ、香織」
 「うん……」



 そのときだった。



 「おーい、早く外いこうぜー」



 ちょっと低くなった、愛しい声。これは、優志の声。私はドキッとして教室前に、視線をやった。
 これから、運動場に遊びにいくのだろう。3組の友達と。



 「優志、今いくぞー」
 「へーい」



 優志に呼ばれた男子は、急ぐようにして教室をでた。優志の後姿。キュンとする。



 「私……優志……好き」
 「そうそう! それでいいの!!」
 「……うん」


 

 優志に恋した、瞬間だった。