コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:  ・Cheryy・ —2つの果実— ( No.125 )
日時: 2010/06/02 22:23
名前: 香織 ◆r/1KAORIEk (ID: ZclW4bYA)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/

 第63話


 


 「 今がチャンスだよ 」



 皆の騒ぎ声で五月蠅い廊下で、絵磨はひっそりと私に呟いた。
 「え……?」といって、私は絵磨の瞳をジッとみつめる。
 なんだろう……絵磨はなにをいうの?



 「ほらっ! 超人気の購買部ぼ苺チョコパン! あんたほしがってたっしょ? 
 あれが今、購買で売ってるんだって♪今なら、人も何故か少ないし、チャンスだよっ」


 次の瞬間、私がずっこける音が廊下中に響いた。



 「……ちょ、香織……」
 「あ……ごめんごめん」


 私はまぬけな声をだして、そういう。
 な、なんだ……すっごい緊張して、損したぞ!!
 なんかさー展開的に「好きな人に告白」とかそういう系かと思ったけどー。
 ……でも、私にとっては、それは待ちに待った、大チャンスなのらすっ!!



 「まってろよぉおおお、苺チョコぉおおおお」



 私は、絵磨の手をひいて、猛ダッシュで叫びながら、購買部に向かった。
 ……誰かが不審そうに私をみるけど、そんなん関係ないしっ!!
 やっと購買部の近くについたとおもったら……。



 「売り切れましたーっ!!」



 その声を聴いて、私はずっこけた。(本日2回目)


 「ちょ……香織……大丈夫?」
 「ちっきしょぉーっ、1個くらい残せよこんちくしょ——ぎゃっ」


 私が愚痴たれていると、突然頭上になにかが乗ったような、感触を覚えた。
 私は吃驚して、そっと上をみる。


 「……!!」


 それは……私のほしがってた、パン(勿論、包装してあるよ)を持った——優志だった。
 優志は「ほい」と呟くと、私にパンをぎゅううっとおしつける。
 ……ちょ、パンがつぶれまっせ、兄さん……。


 「……な、んで」
 「間違えて2つ買ったからーやる」


 そういって、優志は笑顔をみせた。えっ? えっ? くれるんですかぃ!?


 「あ、さんきゅーべりまぁっち」
 「…………」


 私は、焦って裏声をだすと、優志は黙ったまま、どこかへいってしまった。
 ……やばい。




   心臓がドキドキしてます。





 ……おー、なんででしょ、なはははははは。
 へんなの! おかしなの! ばっかみたい! あはははははは。


 「香織〜よかったね」
 「あ、あ、うん」



 私は、今きっと、頬が赤いと思う。そうおもいながら、パンをジーッとみつめていた。


**



 ——放課後。


 まちにまった、放課後ですぜっ!!
 私はるんるん気分で、友達と一緒に廊下を歩いていた。
 
 「るったるったるったった〜ん」
 「……かおりん、朝テンション低かったのに、今はたかくね!?」
 「山の天気みたいに、気分変わるんだね」
 「えっ……ま、まあ」


 秋音と真子にいわれて、私は我に返った。
 ……ん〜……でもな、なんか今日の話、ちょっと出来すぎてる気がする。
 普通、パン間違えて2個買う!? ……おかしいとおもわない?
 アイツはそんなにうっかりしてないし、どっちかといえばしっかりしてるし……。



 「はあ」


 私は掛け声のような、ため息のような、そんな声をあげると、自分の靴箱を開けた。



 「お?」



 靴箱の中にはいってるのは……運動靴と、手紙。




 「えっ!? 香織、もしやこれは……」
 「ラブレターだよっ!!」
 「えっ? えっ?」


 秋音と真子が、私を冷やかす。
 ん〜差出名は……ないな、まあいっか、帰ったら読もう。


 そうおもって、手紙はポケットにしまった。







 今、この手紙、あけとけばよかった。




   ラブレターなんかじゃない、この手紙。