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Re:  ・Cheryy・ —2つの果実— ( No.362 )
日時: 2010/06/26 21:38
名前: 香織 ◆r/1KAORIEk (ID: ZclW4bYA)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/




番外編「小学生★ライフ」


孝文side



 「では皆さん、2学期にまた元気な顔で逢いましょう! さようならー」
 「さようならー」


 挨拶を終えた瞬間、教室中は「よっしゃあ!」とか喜びの声で溢れかえった。
 明日から夏休みだもんな……うん、めっちゃ嬉しいだろうな。
 という俺は、なんかすごく他人事のように、みている。
 いや、夏休みは嬉しいんだ……けどな、もう花梨と逢えなくなるのは、寂しい。


 「あ」


 俺は小さく声を漏らす。花梨をみつけたのだ。
 前はあんなに避けてたが、今では自分から近づいている。


 「はやしn……花梨!!」
 「……!?」


 花梨は驚いた表情で、俺を凝視してきた。
 無理もない、苗字じゃなくて、名前で呼んだんだからな。


 「花梨、あのさ……前はごめん!」
 「……待ってた」
 「え?」
 「三井……孝文君が、そういってくれるの、待ってた」


 俺は俯いていた顔を、そっと花梨のほうにあげる。



 「孝文君、ありがとう、大好きだよ」



 花梨は満面の笑みを浮かべると、逃げるように走って帰ってしまった。
 呼び止める前に、帰ってしまった。



 「花梨……俺も、だからな」


 俺は、小さくそう呟いた。
 それは多分、花梨には届いていない。絶対に、届いていないだろう。



**




 ——2011年7月。
 中学生になった俺は、毎日毎日、野球部の練習に明け暮れていた。
 暑いな……まじで。


 「孝文ー!! 早く帰ろうぜ」
 

 そういって、夕方、校門に向かって走る俺に、叫んだのは龍夜。
 

 「早くこいよ」


 同じく叫びながら、龍夜の隣にいるのは、慶一。
 2人とも、それぞれ部活にはいっている。大体帰る時間は、野球部と一緒。


 「にしてもさー」
 「ん?」


 話しかけてきたのは、龍夜だった。
 龍夜は、オレンジ色に綺麗に染まった、空をみあげて、ぼそりと呟く。
 

 「林野、転校してもう1年経つんだな」
 「あっ……そうだな」


 林野が転校すると告げられた日も、こんなに晴れてて。
 同じく龍夜は、空をみあげていた。


 林野、元気にしてるかなあ。
 そんなことを考えながら歩いていると、あっというまに、家についた。
 俺はポストを確認する。


 「……あ」


 中には1通の手紙がはいってた。



 「 孝文君へ
 元気ですか? 私は超元気だよっ♪
 東京の学校では、ぶりっこしてないから
 嫌われてないよ〜(笑)
 多分ね、うん。
 でも友達もちゃんといるよ!!
 吹奏楽部にはいって、毎日練習してます♪
 孝文君も頑張ってね!
 あと……。


 孝文君、私のことすきっていってくれたよね。
 あれ、ちゃんと聞こえてたよ!

  花梨より 」




 俺は恥ずかしくなって、1人で笑うと、便箋と鉛筆を取り出した。
 返事を書くんだ、あいつに。
 なんてかこうかなあ。




 END