コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:  ・Cheryy・ —2つの果実— ( No.378 )
日時: 2010/06/30 17:55
名前: 香織 ◆r/1KAORIEk (ID: ZclW4bYA)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/



 第73話



 「あつっ……!!」


 6月も終わりごろの早朝。私はいつものように、登校するために、外に出た。
 その第一声が、これである。朝だというのに、気温は30度ほどあった。
 ……歩いているだけで、汗がでてくる。……暑い、あー……!
 今は本当に梅雨時なのだろうか、と思うほど、最近は暑い日が多い。
 ……まあ、雨降ってムシムシしてる暑さより、晴れてじりじりした暑さのほうが、好きかな。
 汗はいっぱいでるけど……やっぱ、夏がきた! ってかんじだしね。
 

 「香織ーっ! 早くー!!」


 私と、10mほど離れた場所で、私に向かってそう叫んだのは、絵磨、萌、来奈の3人。
 私は「おまたせー!」と叫び、走りながら、3人に近づいた。
 絵磨はハンカチで、額の汗を拭うなり「てか今日、ヤバイほど暑いんだけど」と呟いた。
 その言葉に、来奈が反応した。


 「もうすぐ7月ですし、プールの授業もありますし、頑張りましょうよ!」
 「……ふぁ〜……もう7月か、はやいなあ……」


 来奈の言葉でそういったのは、萌だった。萌も同じように、ハンカチで汗を拭っている。
 ……あー、こうして立っているだけでも、汗がとまらない。今日は本当に暑い。
 こういう日に限って、プールの授業がない日なんだよなあ……ははは。
 


 

 学校についたのは、8時10分のことだった。いつもは、15分か20分なので、少し早めについた。
 「暑い〜!」っていって、急いだせいかな。……教室も、充分暑いけどね〜……。
 私は教室にはいって、自分の席につこうとした、そのときだった。


 「七瀬香織〜っ!!」


 フルネームで私の名前を呼ぶ、声がした。
 その声は、教室中に響き、非常にキンキンしている声。間近で聞いたら、鼓膜が潰れそう。
 その声に、4組のほとんどの人が、反応した。
 ——何故ならそれが、鈴野愛可だったから。
 私は無言で、愛可のほうに近づくと、冷たい視線を送って「何のよう?」と、尋ねた。
 

 「あのさぁ〜……ちょっときてぇ?」
 「え」


 愛可の顔は、恐ろしいほどに笑顔であった。上機嫌なのかな……。
 今気付いたけど、愛可の両脇には、1組の美里奈と、5組の優志がいた。
 ……てかなんでこの組み合わせ? よりによって? そんな疑問を抱えながら、愛可たちの後ろを歩いていた。
 ……突然、愛可たちは足をとめた。
 1階の階段裏で。ここは、死角になっているため、ほとんど人が、目にすることはない。


 「あのね、話したいことがあるんだぁ〜」
 

 愛可は、思いっきりニヤニヤしはじめた。こんなにためらわなくても……。
 そう思ったが、私は色々とめんどくさいので、無言のままでいた。
 すると、突然優志が口を開いた。


 「……タヒね、ブス」
 「は!?」


 優志は、無表情のまま、私にぴしゃりと、冷たい言葉を放った。
 私は、意味が分からなくて、あんぐりと口をあけたまま、突っ立っている。
 ……は? なんすかこれ、まじでどういう意味? 意味わかんないよ……。


 「もしや、それをいうために?」
 「まあそれもそうだけどぉ、もっと別のこともあるよ」


 美里奈が私にそういった。……階段裏には、何故か鏡がとりつけてある。
 その鏡に映る、3人の姿は……。
 平安顔だった。
 ……だって本当に平安顔にみえるんだもん!


 「……あのねえ、愛可と優志、付き合うことになったのぉ」


 ……愛可は、自慢げにそういうと、優志の右腕を、がっしりとつかんだ。
 うわあ……これで、私を傷つけたとか思ってるのかな……うわあ……。
 私は「で?」といっただけだった。


 「香織、残念だったね、優志君のことずっと好きだったのにぃ! あはは、哀れぇっ。
 ……まあ、香織なんかより、愛可ちゃんのほうが、ずっとかわいいから当たり前かー!」

 美里奈は、言葉とは裏腹に、満面の笑みを浮かべて、私を皮肉った。
 ……私は、黙った。……もうなんなんだ、こいつら。


 「いつから付き合ってんの?」
 「1週間前だよぉっ♪」
 「ふ〜ん……道理で、あのプリが出回ってるわけだね」


 私の一言で、3人は「え」と固まった。私は、ポケットから携帯を取り出すと、画面を開く。
 そしてある画面まで操作すると、3人に携帯の画面を、無理やりみせた。
 

 「こ、これ……!!」
 「俺らの……」
 「えっ!? なんで!?」


 3人は思い思いの言葉を口にすると、目を見開いて、私をみた。
 ……おい、そんな平安顔で、間近でみられたら、ちょっと怖いぞ……。
 

 「……それ、今2年の間で出回ってるよ。もしかすると、先輩や後輩にも」


 ——事の発端は、つい昨日のことだった。
 昨日は職員会議のため、全員部活がなく、早く帰れることになっていた。
 テストも終わったばかりで、浮かれていたら、突然、着信があった。

 ——新着メール1件 絵里那



 「 Dear 香織
 はろぉ〜っ★ 今日は皆部活ないよね!?
 よかったら、今から遊べない?
 近くのファーストフード店で
 待ち合わせね〜(^^)
  From 絵里那 」



 私は、すぐに返信した。


 「 Dear 絵里那
 そうだよ〜! ファーストフード店ね! 了解★
  From 香織 」


 私はそのメールを送信すると、すぐに準備して、ファーストフード店へ向かった。