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　第75話



　帰宅途中、鞄の中の携帯が震えたのを感じ、私はとっさに携帯をとりだした。
　……どうやら、新着メールがきたらしい。私は誰からきたかも確認せず、そのメールをみる。
　

　「　Dear　香織
　こないだは、写真提供どうも(笑)
　今度は俺からー！！
　優志のかいた、変な手紙
　リビングの机に、ぽんと置かれていたという
　　From　孝文　」


　メールと一緒に添付されている、写真に目を写した。
　その写真は、一枚の白い紙がうつっていて、その紙には、汚い字でこうかかれていた。
　“　愛可かわいい愛可かわいい愛可美人　香織不細工香織タヒね香織きもい　”
　……私は、口をあんぐりあけて、固まった。
　な、なんじゃこの……小学校低学年の文章の内容は……。
　まああいつの字、こんなかんじだし、優志がかいたことには間違いないだろう。


　「　Dear　孝文
　うわー……引いた、これ(笑)
　リビングの机に置く、精神が信じられん
　嫌がらせか(＠Д＠)
　　From　香織　」


　送信……っと。
　私は、送信ボタンを押して、携帯を鞄の中にしまった。
　まあ、あとは家に帰ってからみることにしようっと。
　






　


　
　——自宅。
　私は、制服から私服に着替えると、すぐに携帯を取り出した。
　さっき、携帯が震えてたから、着信があることはたしかだ。
　私は、やはり孝文からであることを確認すると、メールをみた。


　「　Dear　香織
　嫌がらせだと思う(０Д０)
　つかあいつ、まじで鈴野好きならしい(笑)
　休みの日とか絶対に、鈴野を家に呼ぶし
　家に呼んだら呼んだで、自分の部屋で
　いちゃいちゃいちゃいちゃ(笑)
　バカップル……いや、平安カップルだな
　　　From　孝文　」


　「　Dear　孝文
　ぎゃー！！
　なにそれ、超面白い！！
　いっぺんその場面みてみたい(・3・)
　てかあの、お堅いツンデレ(笑)野朗が
　愛可にゾッコンねえ……；；；；
　ウケるわ、平安(笑)
　　From　香織　」

　
　「　Dear　香織
　今度目撃したら、写真送る(・∀・)
　……つかさあ、お前さ、悔しくないか？
　本当に面白いか？
　　From　孝文」


　え……？　なんでいきなり、こんな話してくるんだろう。
　私はそうおもいながら、返信の文章を打つ。


　「　Dear　孝文
　はひぃ？
　どういう意味ですかー(´∀｀)
　悔しくないよ、平安だもん(笑)
　　From　香織　」


　「　Dear　香織
　そっか、じゃあいいや(＾3＾)
　…………。
　あのさ、お前、今好きな人いる？
　　From　孝文　」


　……好きな人！？
　好きな人かあ、そういや、そんな人……いるかな？
　私は自分の胸に手をあてて、考えてみた。
　優志の顔が浮んでは消え、浮んでは消え。そして、完全に消え去った。
　あいつはもう、愛可のものなんだから。
　そして最低なやつなんだから。
　……うっ、なんかドキドキしてきた……なんでだろう。
　このメールを通じて、私の鼓動の音が、孝文に聞こえちゃうんじゃないかってくらい。
　ドキドキするううう、あああああああああ！！
　途端に、顔が火照ってきた。うわあああああ！！


　「　Dear　孝文
　いなーい！
　でも、男のなかでなら
　孝文が一番すきっ
　　From　香織　」



　私は冗談で、そう返信した。