コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:  ・Cheryy・ —2つの果実— ( No.412 )
日時: 2010/07/09 18:28
名前:  かおり、 ◆r/1KAORIEk (ID: ZclW4bYA)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/






 第77話



 胸までのびた、黒髪を、思いっきりハイポニーにして、それを髪飾りでとめる。サクランボ柄の浴衣をきて、ちょっとおめかし。
 ……いつもは、黒とピンク系の服しかきないけど、今日は浴衣!! ってことで和ファッションでーす。
 私は、姿見をじっとみつめて1人で自己満足した。
 

 「じゃ、いってきま——」
 「いってきます」


 先越された……!! 龍夜。ああそうか、今日はこいつも友達と一緒に祭りにいくのね……!!
 私は、がくっとうなだれると、数秒硬直して、再び前を向いた。ええーい、もういこう!!
 

**


 「あ、香織ー! こっちこっち」
 

 そういって、校門前にたって手をふるのは、絵磨。人に埋もれてよくみえないが、萌と来奈もいる。
 私は手をふりかえして、急いで3人の下へと走っていった。私は、にこやかに3人に話しかける、3人もまたにこやかに、返事してくれた。


 「とりあえず、券もらおー」
 「うん!!」


 今日は、思いっきり遊ぶつもり!! いやなこととか、全部忘れちゃえ。……っておもうと、なかなかできないものである。
 ……遭遇してしまった、嫌なやつに。10mほどさきにいるけど、そのうちの1人は、私達にきづいてるようで、こちらを凝視してくる。

 「バ香織、バカ絵磨、バカ萌、バカ来奈ー!!」

 小学生みたいにそう叫んで笑うのは、望。隣にはいつもよりテンションの低い森野と、笑顔の怜緒。そして……優志愛可。


 「まだバカ呼ばわりするかお前ーっ!!」

 絵磨は、望にそういう。望はなにもいいかえさずに、ただへらへらと笑って、怜緒の肩に触れた。そして「コイツに会えて嬉しいくせに」と、絵磨をからかう。絵磨の顔は、みるみる紅潮する。
 
 「……えむぁ……もぅえ……るぁいな……くぁおりぃ……お前らいいよな……」

 渇舌の悪い発音で、この世の終わりを物語っているかのように、そういうのは、森野。周りから、絶望オーラを放っているのがわかる。来奈はしんぱいして、森野に話しかけた。

 「どうしたんですか? 森野先輩」
 「俺の彼女、美里奈、かむばーっく!! くそやろぉおおおおおおお!! ……というわけだ……」


 森野は一瞬、いつものテンションに戻ったかと思うと、また低いテンションに戻った。ああ……そういうことか。私は、森野にあまり話しかけないほうがいいとおもった。
 すごいショックをうけているとおもうから、あんまり触れない方がいいとおもった。
 それを、3人も悟ったのか、速やかに森野たちから離れよう、とした。


 「彼氏いない子って、こういうとき哀れよねぇっ」
 「全くだ、俺らは勝ち組」


 ……極力、スルーしたい声であるが、ここまで侮辱されると、もうスルーどころじゃいかない。
 今すぐ首しめてええええ!! フルボッコにしてえええええっ!! てないきおいで、私達は、平安に振り返る。

 「何よ平安、バカップル、チュープリ伝説」

 私はたっぷり皮肉をこめて、いいかえした。それが気に触ったのか、優志は私に近づいてきた。私は、思いっきり優志を睨む。ああ……平安……だわ、本当。


 「うるせえんだよ、干物女、滅びろ」
 「あんたが滅びろ、平安男、寝殿造の下敷きになってタヒね」
 「……意味不ーっ」


 我ながら、すごい毒舌だなあ、と自分でおもいながら、優志に悪口をいいまくった。優志も負けじといいかえしてくる。あーてか、時間なくなるじゃん。

 「ってことでばいばい、平安」
 

 私はそのまま、3人と一緒に、学校の中にはいっていった。
 少しだけだよ、胸が痛んだのは。別に悲しくともない……はずなんだよ、胸が痛むはずない。
 君と愛可がカップルって現実、今更押し付けられた気がするんだ。
 昔羽、私は君が好きだったんだから、もしかしたら今も気があるのかもしれない。
 これは嫉妬なのかもしれない、ねえ、もううざいよ……これ以上振り回すな、きもいんだよ。
 



 「カキ氷食べたい」



 私は、何故かそんな言葉を発した。別にそこまで食べたくないのに、きっとその場しのぎで。
 悲しみを抑えるために。