コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:  ・Cheryy・ —2つの果実— ( No.430 )
日時: 2010/07/10 22:08
名前:  かおり、 ◆r/1KAORIEk (ID: ZclW4bYA)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/





 第78話



 それから私達は、無我夢中に遊んだ。カキ氷食べたり、スーパーボールすくい、くじ引きやったり、お好み焼き食べたり、チョコバナナ食べたり。
 ……ってほぼ食べてるなあ、私。でもいいや! なんだか童心に帰ったみたいに、嫌なこと全部忘れて、騒いで、笑って……——
 
 ふと校舎の時計を見た。18時きっかり。ああ、もう1時間もたったのかあ……時間がたつのって、こんなに早かったっけ。次に私は、空をみあげた。
 空はどんよりとした曇り空であった。日が長くなったので、まだ日は沈んではいない。
 
 私達はさすがに疲れてきたので、校庭のすぐそばにある、階段に腰をかけた。今、こうして、校庭を見ると、結構知ってる顔が並んでいるなあ。でも、なんだかさっきより、人が少なくなったのは気のせい?
 そう思っていると、突然萌がたちあがって「忘れてた!」と声をあげた。私達は吃驚して、萌のほうを向く。絵磨が「どうしたの?」と尋ねた。


 「今日……河川敷で、花火大会、だった」


 ……最近は、シーズンよりちょい早めにお祭りや花火大会をすることが流行ってるのか。いや、流行とかそういうのじゃないか。なるほど、道理で人が少なくなるわけね。

 「……19時からですね、電車でいけば、間に合いますよー」


 来奈がふいに携帯で、チェックしてそういった。来奈はこういう仕事は、やけに早い。次の瞬間、全員の声が重なった。

 「じゃ、行こうか!」


 突然お祭りから、花火大会に変更となった。まあ、こっちのほうがいいかもね!

**

 
 自転車をはしらせて、10分とばかりの場所に駅はあった。私達は、切符を買って電車に乗ることになる。
勿論、中学生は大人料金であるが、私は子供料金だ。こういうとき、チビはなんだか得をする。……って中2になっても、やるかぁ? 普通。あー、なんかこれと似たようなこと、前にもあったなあ。

 確か、あれは丁度1年前の夏。
 何故か三井家などの男軍団と共に、プールにいったときのこと。私は、中学生なのに子供料金を払った記憶がある。鮮明に覚えている。そのとき、孝文にどうたらこうたら言われたなー。
 それから孝文と、あれで……えーと……って、そうじゃなくて!! なんで孝文がでてくるんだ、あんな巨人猿関係ねぇーって!


 「うわ、超混んでる」


 電車が到着したプラットホームでそう呟いたのは、絵磨であった。電車の混雑は、花火大会の客で予想できたことだが、さすがにいざ乗るとなると、ちょっとなあ……。暑苦しい。と思いつつ、私達は車両の中の押し競まんじゅうにまじる。あと、30分のガマン!

 私はそうおもって、違う所に視線を移した。……私は唖然とする。どうしてこう、嫌な人に会うタイミングって、こういうときなんだろう……。
 手をつないで、仲良くしているカップル、それは紛れもなく優志と愛可であった。私はふいに、3人に報告する。


 「ね、平安カップルあそこいる」
 「げ! まじだ……同じ車両〜!?」
 「ちょ、手つないでるし〜」
 「大胆ですねぇ〜」
 

 ……と、そのときであった。突然、私のもとに未確認生命体が飛び込んできた。私は「ひゃ!」と奇声をあげて(迷惑)後ろの人にぶつかる。私は、後ろの人に「すいません!」と謝って、飛び込んできた生命体……康義の頭を、軽く叩いた。

 「いきなり飛び込むな! ……って、え?」
 「こんなとこで会うなんて奇遇ー! お姉ちゃん♪」
 「……おまえがいるということは……」
 「僕もいるよん」


 辰雅がひょっこりと人だかりから現れた。辰雅は可愛らしい表情で、眼差しで、私のほうをむいた。……ううふ、おふう、あふっ! なんか……嫌な予感がしてきたぜ!!
 こう、ぞくぞくとなにかが迫ってくるような、ホラー映画のような、あの感じ! ……私は、背後から、肩を思いっきりつかまれて、おそるおそる、後ろを向く。



 「……オー! マイゴット!」
 「なんで英語なんだよ、姉貴」
 「アイアムアショック!」
 「なんだよその、とってつけたような英語。英語を使っている、全海外の皆さんに謝れ」
 「オー! ソーリー!」
 「もういいっちゅうねん」


 私は、満員電車のなかで、龍夜、孝文、慶一(順番に喋った)と変なコントを繰り広げていた。
 って、そうじゃなくて! なんなのこの、最悪車両! 意味不明、ぎゃーす。


 「絵磨、萌、来奈、うち、ちょっと隣の車両いくわ……」
 「あ、うん」


 3人も悟ってくれたのか、それからはなにもいわなかった。隣は女性専用車両! はいってこれませーん。特に優志は、ね。

**


 電車を降りると、私達は改札口をとおって、駅をでた。……絵磨と萌と来奈と……えっと、あとは……もう説明しなくていいよね。
 
 「なんでこおなるのお〜」
 「まあまあ、弟君たちはともかく、平安カップルからは離れようよ」

 涙目の私をなぐさめる、萌。萌は、チラッと、何気なく一緒に歩いている、平安カップルをみてそういった。私は、しゃがんでいた体形から、そっと立ち上がった。
 歩き出そうとしたその瞬間、冷たい液体が、私の頭上に零れ落ちた。

 それは、二滴、三滴、とぽつぽつ増えて……大量になる。なあーんだ、雨か。

 ってあめぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇえぇ!?