コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:  ・Cheryy・ —2つの果実— ( No.553 )
日時: 2010/07/20 21:53
名前:  かおり、 ◆r/1KAORIEk (ID: ZclW4bYA)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/





 第81話




 10時になり、私達は駅に向かった。何故か、龍夜とかとも一緒。これは本当に奇遇。あー一緒の電車にのって、帰ることになるのか。
 私はそうおもいながら、電車の切符を購入する。改札口を通ろうと、したそのときであった。後ろのほうから、聞き覚えのある声がした。


 「えぇ〜、愛可たちはべつにぃ〜、ねえ、優志」
 「おう、俺たちは……」
 「嘘いえ、こんな時間に中学生が、子供だけで外出するとは何事だ」


 優志と愛可にそう説教する、姿を見て、私は思わず「うわ」とこえをあげてしまった。学校の先生じゃん……。左腕に黄色い腕章をつけてることから、見回りでもしてるんだろうか。
 今日は花火大会だったから、遅くまで生徒がいないかどうかってか。よくそんなことするなあ。

 「とりあえず、行き先をいえ。正直にいわないと……」
 「だーかーら! 塾の帰りですよ!」
 「そうですよ!」

 先生に問い詰められて、うろたえる2人の姿を、私は遠くからジッとみつめていた。そのとき、背中を叩かれた。私はドキッとして、恐る恐る、振り返ると、絵磨が困った顔をして立っていた。

 「ちょっと、早くいかないと、うちらもバレるよ! はやく!」
 「あっ、うん!」

 私は、大急ぎで改札口をとおり、プラットホームへむかった。


**


 駅を降りたのは、丁度11時ごろだった。まさかこんなに遅くなるとは、思ってもいなかった。両親にはあらかじめ、遅くなるとは伝えてるけど、ちょっと遅くなりすぎだ。


 「早く帰らないとやべえな」


 龍夜が、心配そうな声をあげた。外は暗いから顔はよくみえないけれども。みんなとわかれて、ついに、私、龍夜、康義、孝文、辰雅の5人になった。皆疲れているのか、何も話さない。と、そのとき、辰雅が口を開いた。


 「……そういや、優志にいは?」
 「あーなんか、先公に捕まってたよ」

 私が、うつむきながらそういった。4人は驚いたようで「えーっ!!」と、大声をだす。ちょ、近所迷惑だって。「そういやどおりでいないとおもった」と、呟いたのは孝文。

 「俺の噂かぃ?」


 
 ……噂をすればやってくる、それって絶対に本当だとおもう。奴は、優志は、私達が話していることをまるで、センサーで察知して、やってきたかのように、当たり前のように、現れた。私達は、めんどくさいのでむし。


 「ちょっとなにかいえよー」
 「おーい」
 「おーいってばー」


 閑静な住宅街に響く、優志の低い声が、虚しく思えてきた。同じことを思ったのか、康義が反応した。


 「別に心配してないよー、ただいないなとおもっただけー」
 「えー心配しろよー、夜中だぜ」


 優志がそういうと、私達はいっせいに爆笑になった。優志は不気味そうな顔をして「なんだよ……皆してきもちわりぃ」と吐き捨てる。

 「女の子なら心配するけど、男だしねぇ」
 「愛可もいたぞ、愛可は女の子だ!!」
 「鈴野なら、だれも痴漢しねぇだろ」


 三井三兄弟(順に辰雅、優志、孝文)の会話は、地味に笑えた。私はゲラなため、さっき爆笑の嵐が収まったのに、また笑いはじめた。近所迷惑な笑い声が、響く。と、あっというまに、家の前になった。

 「じゃなー! ばいびー!」
 「おーばいばい」


 久しぶりに笑った。久しぶりに楽しかった。久しぶりに気持ちよかった。最高だった。次、こんなことがあるのはいつだろう。そうおもうと、急に切なくなって、胸が苦しくなった。