コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:  ・Cheryy・ —2つの果実— ( No.594 )
日時: 2010/08/02 13:17
名前:  かおり、 ◆r/1KAORIEk (ID: ZclW4bYA)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/



 第85話



 「あのさ……ちょっと、いかない?」
 「は?」


 主語と述語が成り立ってない為、何をいっているのかさっぱりだった。私は更に不機嫌になり、舌打ちまでした。しかし、茶髪男は、顔色一つ変えずに私に、ゆっくりと歩み寄ってきた。


 「……い・い・と・こ♪」
 「はっ!? 意味わかんない……」


 やばい、この人やばい、危険すぎる。はやく逃げたい、誰なのこいつ、マジできもい。うざい、はやくあっちいって!! という気持ちでいっぱいだった。今にも泣いちゃいそうだった。茶髪男は、逃げようとする私の腕をひっぱった。


 「中学生がそんなとこいっていいと思ってんの!?」
 「……何いってんの、俺いかないし、ね」
 「え……」


 路地裏につれていかれた。さっきまでの、光は消え、暗闇へと変わった。そこにいたのは……黒いスーツをきた、気持ちの悪いおじさんであった。なんだか、すごく嫌な予感がする。おじさんは、茶髪男に笑顔を向けると
 
 「ありがとう、お金はあとで払うよ」


 と、いった。私は寒気がした。途端に、私は逃げ出した。走った。走らないと、逃げないと、気持ち悪い、吐き気がする、嫌だ、嫌だ、まだ汚れたくない……。私は、涙をながしながら逃げた。これでもかってくらいに、全力疾走した。
 警察にいったとして『中学生が、コンパするな』とかなんとかなって、学校で噂になったら嫌だから、それだけは絶対にしたくなかった。

 「香織!!」


 私は、息切れして、その場にへたっていると、聞き覚えのある声がした。声の主は、絵里那と美里奈。2人とも、泣きそうな顔をしていた。というか、もう泣いているのかもしれない。

 「香織も……やっぱり」
 「うん……怖かった……!!」

 絵里那と美里奈も私と同じことをされ、一目散に逃げてきたらしい。


 「……とりあえず、ここにいた……ら……」


 美里奈は、あさっての方向を向きながら、最後のほうは、今にも消えそうな声でそういった。おそるおそる、後ろを向く。信じたくなかった現実。そこには、さっきの4人組がたっていた。

 「なんで逃げんのよ〜……美里奈、せっかく、彼氏ほしいといったから、協力してあげたのに」
 「あっ、あんなジジイの彼氏、ほしいなんかいってないし!!」
 「……あっそ、でもうちら、あんたらのメアドしってるよ……逃げれると思ってんの?」
 「メアド変えればすむし。……もうあんたと関わんない! いこ、香織、絵里那」


 金髪女子と、美里奈との会話をきいた私達は、また一目散に逃げた。普通なら、走りすぎて疲れて、走れないところだけど、今はそんなの関係なかった。


**


 家の近くの公園のベンチに、私たち3人は座っていた。携帯をいじっている。メアドをかえるため、あいつらから逃げるため。さすがに、あいつらも、ここまで追ってこない。

 「けどさ……あいつら、私らの学校しってるでしょ? だったらやばくない……」
 「大丈夫、あいつらの通ってる中学は、不良で有名のとこだから。うちらの中学の、生徒も先生も、あの中学に偏見持ってるし。大丈夫だよ」
 「だったらいいけど……」


 私は心配になって、美里奈にきいた。美里奈は、もう余裕の表情をみせている。私も今、少し落ち着いてきたところだ。


 「そろそろ、帰ろうか」


 絵里那のその言葉で、私達は自分の家へと向かった。私は、自分の家につくと、すぐさま部屋にいって、携帯を開いた。皆に、メアドを変えたことを、報告しなくてはならない。
 その作業を終えると、私は机の上に伏せた。……あああ、宿題やってない、やらなきゃ。


 そう思っていても、疲れたのか、安心したのか、睡魔が襲ってきた。