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Re:  ・Cheryy・ —2つの果実— ( No.717 )
日時: 2010/08/15 15:07
名前:  かおり、 ◆r/1KAORIEk (ID: ZclW4bYA)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/




 第91話




 「……は」


 その5人は、どこかで見覚えがあった。絶対に見覚えがあった。私は彼らの名前を、全員把握しているし、向こうも私の名前を、把握しているだろう。つまり、知り合いなわけだ。

 「……いや〜ん、こんなとこで会うなんて奇遇っ」

 そういってきたのは、平安女こと鈴野愛可。その横には、平安男こと三井優志。何故か城沢拓斗、喜嶋崇。優志の友達、渡部敦也。

 「お前ら楽器できんのかよ?」

 嫌味をこめてそういったのは、孝文。それに応えたのは、兄の優志であった。

 「俺はドラム得意だし、愛可はピアノやってるからキーボードいけるし、敦也は歌うめぇし、きーちゃんと城沢は、ギター経験あるしな」

 そういうと、優志は得意げに鼻の下をこすって「どんなもんだい」といわんばかりな表情を、私にむけてきた。私は「うざい」といわんばかりの表情で、睨み返す。

 「優志にいが、ドラム得意なんて初耳だよ」

 辰雅は意外そうな顔でそういった。ああ……そういえば、あいつ、小学校のとき、音楽室のドラムやってたな。……もしやあれだけで、経験とかいってんの!?

 「俺、小学校のときに、音楽室のドラムいつもやってたから」


 やっぱり……それか。一方、龍夜は顔見知りの意外な、出現に全く応じず「はやく練習しようぜ」と、いう。

 「……そうだな、先生、教えてください」
 「……ぶっ、孝文! だっけ? ……お前、楽器経験ねぇの〜?」

 そういったのは、敦也。敦也は、私が小学校時代から知っているが、嫌味っぽくて近寄りがたい、まさに優志の友達に、ぴったりであった。

 「……ねぇから教えてもらってんだよ、なあ」

 孝文は、すぐそばにいた康義に相づちを求めた。

 「うん……あ、そうだ! おねえちゃんは、3年生の時に、ピアノやってたよ」

 そう! 私は1年間だけだが、ピアノをやっていたのだ!! 

 「てかお前らさあ、楽器経験豊富なら、勝手にバンド立ち上げればいいじゃん、なんでここいるんだよ、帰れば?」

 龍夜が、5人に向かってそういった。しかし龍夜の視線はもう、ベースのほうであった。きーちゃんがそれに、ムカッときたのか、答えた。

 「ここにこようが、くるまいが、こっちの勝手だろ!」
 「そうよぉ〜……もうみんなぁ、練習やりましょぉ


 愛可がそういうと、皆は楽器を用意して、練習をはじめた。どうやらこいつら、今日がはじめてじゃないらしい。

 「あの、先生……」
 「香織ちゃん、何?」
 「……練習、やりませんか?」
 「あっ、そうね、やりましょやりましょ〜」


**


 「どきっどきがとまんなぁ〜い」
 
 辰雅が、もらった楽譜をみて懸命に歌の練習をしていた。結構上手い。……そして私は……。

 「あぁ〜もうこれむずすぎ!!」

 ピアノやってたものの、初心者とさほどかわらない私は悪戦苦闘していた。龍夜と康義は、コードとか、覚えるのに必死だし、孝文はなんか、リズムとれてないし……。なんなんだ、これ。

 そして、あちらのチームでは。


 ……もういうまでもないよね、くぅー! むかつく! なんか、時々こっちチラチラみてくるし、嫌味としか思えなくも、ない。

 「じゃあちょっと休憩〜」

 先生の声で、私達は休憩することになった。……ふ、面白半分で参加するんじゃなかった、もう帰りたい……ふはははははははは。

 「ねぇねぇそこの貴方達〜」

 げ、愛可。

 「あたしたちも教えてあげよぉかぁ〜? もうあたしたち完璧でぇ〜! 先生いいでしょぉ?」

 ……別にいいよ、教えてもらわなくて。