コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第29:文化祭ライヴ!〜前半〜 ( No.158 )
- 日時: 2010/07/17 23:22
- 名前: 遮犬 (ID: SmzuliUF)
あのバカ夕姫は・・・
「何やってんだぁああ!!!」
「あ、奏〜?」マイクでいうから夕姫ファンというか暴風警報ファンのやつらが俺のほうを一斉に向く。
「えーマジかよ・・・こんな冴えないやつがあの可愛い子の兄?」「信じられなーい」などなど。
数え切れない罵声を浴びてる、俺。
こいつらぶん殴ってやろうかとは思ったが夕姫の元へ急ぐのが先だ。
「何してんだって」声の聞こえる距離までいき、とりあえず話しかける。そして意外な答えが返ってくる。
「えとね、奈津ちゃんが奏のために歌を歌っちゃうらしい!」
「はぁあああああ!!!?」驚愕するのと笑うしかありませんね。これは、いくら俺でもどうしようもない
「ということでっ!奈津に代わりまーす!」すると奈津がマイクを受け取り少し顔を赤めながら
「え・・・と、久しぶりにお兄ちゃんに会えて、嬉しかったよ。元気そうでよかったし・・・」
「「萌え〜〜〜〜〜!!!!!!!」」と周りのやつら。
「大切なお兄ちゃんのために、この大事な日に私はお兄ちゃんに歌をプレゼントします」
「「てかお兄ちゃんって・・・・うらやましすぎるだろうがぁあああ!!!」」周りがうるさい・・・。
「えと・・・音痴かもしれないけど、聞いてください。『約束の日』」
そして奈津が歌い始めた。ギターは夕姫。ベースは椿とドラム、キーボードは稀穂さんのお供たちだった。
なぜか有紀さんやら鈴音ちゃん、紗希と日向や稀穂さんがいないという不思議な光景だった。
でもそんなのは関係なくだな・・・めちゃくちゃ歌がうまい。いや、シスコンとか関係なくだな。
夕姫もうまいが・・・なんていうのだろう。奈津の歌声は・・・企業でいうS○NY?
ともかく、うますぎるというのは確かだった。随分と聞き惚れてしまい、周りのやつらも静かだった。
「ふぅ・・・私の歌を聴いてくれて、ありがとうございました(満面の笑顔)」
「「ぐはっ!!」」倒れる周りの生徒たち。
「「何か・・・天使のようなものが見えた・・・!?」ついには幻覚を訴えるやつまで。
なんていうか、歌詞を聴いていると、懐かしい感じがしたような・・・。気のせいか、俺も幻聴症状かもな。
突然のことでこうやってビックリしたわけだが・・・ライブは続くわけで・・・。
「よしっ!奈津にみんな大きな拍手ー!!」しっかしお前はやりたい放題だな。
だが奈津にものすごい盛大な拍手を送ってくれた生徒たちに対して感謝をしたいと思った。
「さっ!次は私たちの出番だよーっ!!有紀〜!」夕姫が叫ぶとなにやら後ろのほうにでかい壁紙が。
書いてある絵は夕姫、その他俺を省いた暴風警報の一同たち。書いてある言葉は・・・・。
『全生徒に告ぐっ!世界は私達中心で回っている!・・・・はずだぁっ!!!』と。
根拠ねぇえええええ!!!!!せめて最後の”はずだぁっ!!!”は外しておいて欲しかった。
てか有紀さんと鈴音ちゃんとかこれだけのためにどっか行ってたのかよ!!
そして有紀さんと鈴音ちゃんがそこから出てきて稀穂さんお供は退く。
「いきまーす!新曲!『響け!世界に!』という横暴的なタイトルのついた新曲があらわとなる。
まあそんなこんなで新曲披露をしたわけだが・・・問題はこの後だった。
「それで・・・!誕生日おめでとぉっ!!奏!奈津!!」
といった瞬間、後ろのポスターがどこで細工をしたのかわからんが俺のひどい顔をしたポスターが・・・って
「ドアホォオオオオ!!!!!!!!」そりゃもちろん俺は叫びましたよ?でも無理だった。
なぜかというとだな・・・目の前にはニヤニヤ顔の紗希が武装して待っていたからだ。
・・・通ったら必ず殺されると直感で感じた俺は諦めて自分のひどい顔のしたポスターを見た。
数分後・・・。
ライブが終わり、夕姫たちが俺のほうにきたときには俺はもう放心状態だった。
「大丈夫〜?まだ体育館の中でのもあるんだよ?」
「まだあるのかよ・・・」俺はガッカリとうなだれる。
しかし皆さん。ここでお気づきだろうとは思うが、今日”俺と奈津の誕生日”なのだということを。
これは、紛れもない事実だ。ぶっちゃけちゃうと。
俺は孤児だ。そして、奈津も孤児。それを旅行好きっていうかなんていうかどこでも行く俺達の義両親は
旅先で俺達を拾ってくれたのだった。
俺は音楽の鳴り響く大きなコンサート会場の近くに一人彷徨っていた。自分の名前を知らずに。
そんな中、俺の現在の両親が俺を見つけて、こういったのだった。
「音楽好きそうな顔してるから奏って名付けよう!」いきなりである。
しかも好きそうな顔とかじゃなくてコンサート会場の近くだからそう見えただけだと思うんだが・・・。
でもまあ奈津はもっとシンプルだ。夏の日に孤児院で引き取ったらしい。夏では名前にならんので、奈津。
なんとも悩む必要のないシンプル名なのだろうか。
そしてこの日、文化祭である日の、7月7日。そう、世間でいう七夕。
俺たちの願いを叶えてくれたから七夕が誕生日なんだとか。
俺の例の事件を聞いたとき、初めて親父は怒ったとはいえないような・・・笑いながら俺を怒った。
自分は5歳で拾われたのだが、その前の記憶がない。そんでもって俺はとても昔から臆病だ。
自分の記憶がないことからかもしれない。親は例の事件の後に怒った時の言葉は
『なんでやり返さなかったんだ?俺だったらやってやったね一発KOで!だってな、後悔はしたくないだろ?そんなの、 悲しいじゃねぇかよ』と、言った。
その時の俺はその言葉がわからなかったが奈津には分かったようだった。
だから今日は一番大切で、約束の日。奈津と俺との、大事な日。
夕姫にだけ話したんだが・・・あの野郎あっさり生徒達にバラしやがったじゃねぇかっ!!!
まぁ、いっか。夕姫には夕姫なりに俺達を励ましてくれていると俺は分かったからな。
さて・・・まだまだ忙しくなるようだな。文化祭。後半へ続く。