コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第30話:文化祭ライヴ!後編&約束の日と家族 ( No.164 )
- 日時: 2010/07/19 19:47
- 名前: 遮犬 (ID: SmzuliUF)
さて、夕姫たちは体育館でライヴのようだが俺は違う。つまり、暇なわけで・・・。
このまま俺も体育館で夕姫、さらには稀穂さんやなんと日向さんまで歌うらしいのだが・・・それを見るのか
だがしかし俺は現在校内を巡回中だった。もちろん、奈津と一緒に。いや、シスコンじゃないんだがな?
「こうして二人で歩くのって久しぶりだね?」奈津が照れた様子で言う。
「そうだな・・・」歳が一つだけ離れているからといって"お兄ちゃん"という名目をつけられている。
元は俺のことを呼びつけだったのだが・・・まあその時の気分次第ということらしい。
まあ俺は別にこの"おにちいゃん"のままでも・・・だからっ!シスコンじゃねぇって・・・。
校内のほうは他の生徒会の人たちも何かやるみたいで体育館のほうに集中していたが、
校舎の中もすげぇ人ごみだった。何やらメイドの服を着た女子が「かかってこいや!ご主人様!」と
何やら言葉が荒っぽいような・・・気のせいかな。
えーと今更だが、この時雨咲高校の部活動はハンパない。つまり数が多くというわけで・・・。
生徒会サークルなんてものもあるからグッチャグッチャにかき回されてるわけでありーの。
一番可愛そうなのは部活動とサークルのやってることが重なって、正式な部活動よりサークルのほうが強く
正式な部活動のほうは最後の大会とかサークルに負けるなんて可愛そうなことがおきているらしい。
まあ俺のとこのサークルは軽音だからそんな心配いらないが。俺は気楽だしな。
にしてもすごい熱気ということはお分かりだろうか?とてもいつもの殺風景な校舎とは思えない。
「奏君・・・大丈夫?」どうやらお兄ちゃんという呼び名は親しい人物の間のみらしい。
「あぁ・・・にしてもすごい熱気だな」
「うん、私ビックリしたよ〜。私のところの田舎とは全然違うねっ」
ん〜・・・にしても何やら視線が感じるのは俺だけか?もしかしてこれ・・・
俺と奈津って恋人みたいに思われてるんじゃ・・・?
いやいや、マテマテ、そんなはずないじゃないか。確かに似てないけど!そりゃ義兄弟だものっ!
その後は気まずい中、何か食べて、昔の話したりして・・・俺達なりに自由な過ごし方をした。
そして文化祭ももう、終わりを告げるごろ。
「ハァ・・・ハァ・・・・歌いに踊りまくったぜ・・・・」と、放送スピーカーから聞こえてくる。
「俺たちは・・・全力を尽くし・・・た・・・。後は任せたぞ・・・冴えない男ランキング一位の・・・バタリ」
「俺のことかぁあああああああああ!!!!!」とツッコンでしまったのはいうまでもない。
数十分後・・・
「いやー!大成功!!おめでっとさん!だねっ!!」と随分といい汗をかいている夕姫やその他メンバー。
「あら、奏君はデートもう終わったの?」と痛烈な言葉を有紀さんから受ける。
「で、デートって・・・・」いや、このセリフ吐くのは俺か奈津のはずなのに、なんで夕姫が?
「はいっ!デート終了です!」まさかの奈津のデート認める宣言。オイオイ・・・俺まで顔が赤く・・・。
ガスッ!と爽快な暴力音が俺の頭に鳴り響く。
「何顔赤めてんのよっ!このクソ雑巾っ!」俺のあだ名がボロ雑巾からクソ雑巾にランクアップしたようだ
「ほら、あれっ!さっさと渡しなさいよっ!」紗希にそのまま促されて紗希からもらったアレを思い出す。
「あ、あぁ。そうだった・・・奈津、これ・・・」そういって俺が小さな箱を取り出して奈津に向ける。
「これは・・・?」なんか生徒会メンバーがいる前で渡すのは恥ずかしいんだが・・・。
「誕生日プレゼントだよ。ごめんな?何も気づいてあげられなくて・・・」
俺はすっかり今日という日の意味の大事さを忘れてしまうところだった。
奈津が思い出させてくれたといっても過言ではない。だからこそ、大切な意味をこめて、送りたい。
「プレゼント?」そういって奈津が箱を受け取り、
「開けていい?」と聞かれたのでコクリと頷く。
すると、箱の中に入っていたのは小さなガラス細工の手を繋ぎあう二人の子供。
それはとても綺麗で、すごく純粋で、特別なもののように感じた。俺さえもが。
「すごい・・・!ありがとう!奏君!」
「あぁ、どういたしまして」俺と奈津は互いに微笑みあった。
いつしかの約束の日を振り返り、あの記憶のない状態の孤独だった日々。
両親に奈津という大きな人たちがいたからこそ俺はこうしているわけだ。
いくら俺に不幸な力があっても、こうして奈津と笑いかけ合える。
そう思えただけでも俺にとっては幸福きわまりなく嬉しいこと。これが、家族なんだなって思えた。
「よしっ!決めた!」いきなり奈津が大きく笑顔で声を出し、続ける。
「私っ!奏君の家に居候するっ!」
「はぃ?」それはとてつもなく、そう、俺にとっては超ヘビー級の重さのある言葉だった。
「「何ぃいいいいいいいい!!!!!!???」」生徒会一同と俺は驚きの言葉を隠せなかった。
「ふふ、これからもよろしくね。奏君!」
笑顔でいう奈津の顔が見てもいられず、俺は小さく俯いて深い、深〜〜いため息をついた。
文化祭、終了。