コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第45話:それぞれの葛藤! ( No.266 )
日時: 2010/08/12 15:09
名前: 遮犬 (ID: PboQKwPw)

まてまてまてまて!このクソ暑い中、皆が見守る中で

告白…だと?っていうか俺の初めて受けた告白なんだけど…その初めてが

プラグスーツ姿ってどうよっ!?やり直させてくれ!せめて水着ぐらい着させてくれっ!

待てよ…もしかして俺とは違うんじゃないか?ほら!ラブレターを親友の靴箱に入れて

夜討ちされるという…あれ?この話ってアニメっぽいな?でもまあそんな感じっ!

だから俺じゃないかも——

「あの…ダメ……でしょうか?」いきなりの不意打ち…やっぱり俺だった。頭が真っ白に……

「えっ、あっ…その…っと…」俺がそうやって答えきれずにいる時だった。

本当の異常事態が発生したのは。


「ダメよっ!!!」


大きな声で、なおかつ少し潤んだ声で叫んでいたのは暴風警報生徒会長、桜月 夕姫。

「ダメに決まってるじゃないっ!だって…奏はっ!…奏は…!」

夕姫はその時頭の中がムシャクシャしていた。切ない…っていう気持ちではない。苛立ちでもない。

なんだろう…初めての、気持ちなのかもしれない。こう、胸がキューっと苦しくなって…

つい、叫んじゃった。


「あんたは…奏は私のっ!副会長でしょうがっ!!」


夕姫は自分でも何をいうのかと思いきやこんなことだった。

いや、これしかいえなかった。自分の気持ちがよくわからなかった。奏が遠くにいってしまう気がして

怖かった。まさか自分でもこんな行動を起こすなんて思いもしなかった。

「夕姫…?」奏はビックリしたような険しい顔をしたようななんだかわからない表情をしていた。

「お前——「そうだぁあああ!!お前なんかに郁ちゃんが似合うかぁあああ!!!」

「えぇっ!!」奏が夕姫に声をかけようとした刹那、周りの男共が怒鳴りを上げた。

「お前知ってるのかっ!最近の夏フェスで一番人気だったボーカルの子っていったら郁ちゃんなんだぞ!」

「えぇ!?」

「それもあるし誰にでも明るいから学校でもアイドル的存在なんだぞっ!誰がお前にやるかぁああ!!」

「え?えぇ!?」

「郁ちゃんは俺の嫁っ!!」

「え…?えと…はぃ?」周りの怒声が近づくのと共に俺はその男子共の波に飲まれていった。

数十分後…俺はボロボロの姿でホテルの個室で寝ていた。まさか告白されるなんて…

俺は何をしているんだろうか。こんなこと、何もなららないはずなのに。

俺は…いつの日か必ず皆を突き放さないといけない。俺にとっての居場所は、ここにはないのだから。

そう思ってしまう自分と、そうは思いたくなくずっとここにいたいと願う気持ちと交差する。

また俺は皆に嘘をついてる。…考えても仕方ないか。そう無理矢理にでも切り替えてみる。

「…はぁ…なんかありそうだな…明日」天井を見上げ、飯の時間が来るまで安眠をとることにした。


「はぁ…」その頃夕姫はため息をついていた。

どうしてあんなことをいったのだろうか…今更ながら後悔してしまう。

「そういえば郁ちゃんって奏と話してる時顔赤くしてたっけ…」ベットでしばらくゴロゴロしていると

「会長さん♪ちょっといいですか?」訪れてきたのは幼馴染でもある椿だった。

「あぁ、椿か。ちょっと待ってて」小さな足をドアのほうへと小走りで駆け寄る。

ドアを開けたの向こうには椿が笑顔で待っていた。

「…本当に椿って男の子よね?」

「はぃ?一番会長さんが分かってるじゃないですか♪」

「だよねぇ〜…」椿は髪をといてきたらしく、長い髪のせいかとても綺麗な女性に見えたのだった。

「それで…何?」

「あ、はい♪長い話になるんですけど…」

「あぁ、じゃぁ入って〜」椿は男性だが全く男性というかむしろ女性として見ているし

昔からよく夕姫の家や部屋などで遊んだりもしたのだから昔の馴染みもあって気にしない。

「緑茶ブレンド持ってきたんですよ♪」椿が緑茶を手早く用意し終え、夕姫が茶を啜っている時

「今日の奏君の件なんですけど」いきなり単刀直入に聞いてきたのもあって緑茶を噴出しそうになった。

「っ!!いきなり何よっ!もっと緩やかにしなさいよっ!」

そういえば椿はこういうやつだったと今更ながらに思うがもう遅い。

「明日は…どうやら海ではなく、近くの人気アミューズメントパークであるパンパースに行くみたいです」

パンパースとは皆さん何か赤ちゃんオムツのことと勘違いしている人もいるみたいだがそうではない。

最近出来たとされる人気のアミューズメントパークである。一日では堪能できないぐらいの広さらしい。

「へぇ〜…それで?」椿がそろそろ何を言いたいかわかってきた夕姫はわざと素っ気無く答えた。

「誰といっても構わないそうです。パーク内では」笑顔を絶やさない椿は平然と緑茶を飲む。

「だからっ!何がいいたいのよっ!」いきなり遠まわしになった椿に本題を聞いてみた。

「会長さん。自分の気持ちに素直にならないと、郁ちゃんに取られてしまいますよ?」

「いや、別に私は——」

「そういう意味もありますが違いますよ。もっと別のことです」

「別の…こと?」緑茶を飲んで一拍置いてから椿はこういった。

「奏君の運気です♪」


そしてその頃、郁は部屋の端のほうでうずくまっていた。

男共に奏がコテンパンにされた後、改めて郁は権限を言った。

「明日…私と、デートしてくださいっ」と。


「私は…悪い子なんだ……」うずくまりながらそう呟いた。

告白…それは違う。自分は、奏のことは好きではない。だが、これも命令。従おうと思う。

でないと————

郁の前に置かれたカルテには篠原 奏とかかれた生徒プロフィールがあり、カルテの持ち主の名のところに

『生徒会:白帝の騎士団生徒会長、佐野 アリス』と書かれていた。