コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第48話:アリスの告白! ( No.324 )
日時: 2010/09/01 17:44
名前: 遮犬 (ID: cLZL9WsW)

「……?」

「どうしたの?」奈津と夕姫が二人一斉に振り返る。何か、嫌な予感がしたのだった。

「…奏?」夕姫が一言呟いた。そして一歩、奏のいるであろうベンチ方向へと歩んだ。

「夕姫さん!」いきなり奈津が夕姫を呼び止める。その声に反応して夕姫も振り向いた。

「いってあげてください!」奈津が笑顔で夕姫にいった。

「——うん!」そして夕姫は走り出した。奏のいるであろう場所へ向かって。

「え?え?夕姫ちゃん!?」何一つわかってないのは裕二ただ一人であった。


奏のいるであろう場所に向かうがそこに奏はおらず、その代わりに何か落ちていた。

「…郁ちゃんのタオル……」

そのタオルを拾い上げて夕姫はもう一度走るのだった。




「いって……」頭がグラグラする状態で奏は目が覚めた。

薄暗い場所で人気もない部屋だった。何故か涼しく、どうやらクーラーがついているようだった。

「外の遊園地とは大違いだな…ん?」そして誰かが前方にいることに気がつく。

「悪いな…奏」薄暗い中姿を現したのは

「馮河…?ちょっと待て、俺は今この状況に頭がついていけていないんだけど?」

「それはそうだろうな…俺がまさか白帝の騎士団側だとは知らなかっただろうしな」

「白帝の騎士団…?なんかどっかで見覚えが…」

記憶にぼんやりと浮かんだのは馮河の言葉。

「あぁ…確か、佐野 アリスとかいう人が…」馮河から聞いたことをそのまま言おうとした刹那

「——私を呼びましたか?篠原君」

いきなりライトが明るく光り、部屋中が光に包まれた。

ぼんやりと見えていた馮河の顔も今はハッキリと見える。

「まぶしっ…!」俺は暗闇からいきなり明るくなったものだから目の虹彩がついていけないのだろう。

眩しく、目を細めながら前方にいる馮河ともう一人の女性。

「私が…佐野 アリスです。お久しぶりですね、篠原君」笑顔で名乗ってくる女性。

その美しさは眼が眩むほどの美しさだった。生徒会の面々とは違う雰囲気。そんなものを出していた。

「久しぶりって…俺は初めましてだと思うが?」俺がそういうとまた笑いながらアリスは口を開く。

「覚えていらっしゃらないのですか?」そういえばこの美しさはおいといてこの顔、何か見覚えがある。

この顔って確か…

「奏っ!!」ドアがその瞬間大きく開き、夕姫が入ってきた。

「フフ…ギャラリーも揃ってきたようですね…。ねぇ、有紀さん?」

そうアリスが口に出して言うと上から何やら液体のようなものが飛んできて奏の縄にあたる。

ものすごい音と泡をたてて縄は溶けて行く。これは…黄色い液体?え?マヨネーズ!?

「あぁ、触らないほうがいいわよ。それ、人の体も余裕で溶かせるほどの液体入ってるから」

「怖すぎますよっ!有紀さんっ!!」俺は上からロープで降りてくる有紀さんの姿を見た。

さらに上のほうには椿と鈴音ちゃんもいる。

「久しぶりですね…有紀さん、それに…」

「…どうして、君が…」その時ほど椿の顔が歪んだ時は後にも先にも今しかなかっただろう。

「あら、なぜそのような顔をしなさるのですか?私はあなたの——」


「許嫁ではありませんか」


「「なっ…!!」」俺含め夕姫と鈴音ちゃんも驚いていたが有紀さんは平然としていた。

「…やっぱりあなたの仕業だったのね」有紀さんが無表情の顔でアリスに問う。

「ふふ…それより、さっきのお話の続きをしましょう」俺の手はすでに縄から開放されていた。

だが、動けなかった。この一言で。


「あなたは私と出会っているのです。だって、昔遊んでいた夕姫という存在は——」

「まっ——」有紀さんがアリスの言葉を止めようとしたが、遅かった。



「私ですもの、ね」