コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第49話:俺の戦う理由! ( No.336 )
- 日時: 2010/09/03 23:10
- 名前: 遮犬 (ID: cLZL9WsW)
何をいっているのか全く理解できなかった。
昔の夕姫が佐野 アリス?どういうことだ。
「どういうことだ…?」心で思ったことを口にも出してしまうほど驚いた。
「私は夕姫、夕姫は私。篠原君…いえ、奏。私が本当の夕姫です」
アリスが微笑む。何をいっているんだ?夕姫は夕姫だろう。
だがよく見たらアリスの顔が夕姫そっくりということもわかった。それにそういえば面影が…
いや、待て。それだとわれらが会長、桜月 夕姫が別人だといっているのと同じじゃないか。
夕姫は俯いていて表情がわからない。椿も有紀さんも鈴音ちゃんも皆苦い表情をしていた。
そんな中一人微笑むアリス。そしてその横にいる馮河は無表情のまま突っ立っていた。
「まだ混乱しているようですね…?なら、説明してあげます。
私は"夕姫だった"。あの泣き虫だった私はいつも奏に助けられていました」
何故だか語って欲しくなかった。でも聞かずにはいられなかった。
「ですが、あの頃私に許嫁の話が入ったのです。まだ小学校の時ですよ?」
笑いながらアリスは言っているがこっちは笑えたものじゃない。心境は深刻だった。
「そしてその許嫁の話があるころ、私は腹違いの妹にしょうがなく奏の元にいってやるようにいったのです
それは奏は私のことには心配性で欠席をすると私の家まで様子見にくるのです。
——私は、許嫁の話を奏に知られたくなかったのです」
「腹違いの妹って…まさか…?」
「そう、それがもう一人の私である桜月 夕姫。腹違いだというのにとても似ていたのです。
ですからその一日だけ、その一日だけ頼みました。そして…奏は"違う夕姫"に告白まがいのことをした」
あの俺の恥ずかしい宣言か。あの時だけ入れ替わっていただと?気づきもしなかった。
「私はその事実に悲しみました。私は…私はずっと、奏のことが好きだったからです。
本当は私があの告白を受けるべき人だった。なのに間違いが起こってしまった」
アリスは微笑んだ顔を打ち消し、泣きそうな顔で続ける。
「私は転校させることを決めました。私はもう、奏を諦めようとして。
そして許嫁候補であった椿君と許嫁の契約を交わして。
私の本当の名前は、桜月 凪(さくらづき なぎ)。お母さんが違うので苗字の本当の名は佐野ですが」
「なんで凪っていう名前があったのに夕姫って…?」
「私と本家の夕姫、どちらを次の後継者にするかということで夕姫という名を取り合ったのです。
つまり、夕姫という名を持った者が後継者となるのです」
なるほどな…それで夕姫は後継者にされ、許嫁も決められそうになってるということか?
「私が生徒会長になると、後継者にしてもらえる上に自分で許嫁を決められるのです」
そしてアリスは、いや、凪はこの一言言い放つ。
「私はそれで奏の許嫁になります。必ず」凪は夕姫を睨み付ける。さっきまでとは違う形相で。
「…私がいいたかったのはこれだけですよ。ですから、私はどんな手段を使ってでも会長になります」
そしてアリスと馮河は去っていった。
…俺の拒否権は全くないようだ。はぁ…ったく。どうするかなぁ、この状況。
「…夕姫」
「っ!!」今までとは違う、怯えたような目で俺を見てきた。
他の三人も黙って俯いているままだった。
こんなの、暴風警報じゃない。いつものあのテンションはどうした?なんでもいいから何かいってくれ。
「椿…お茶」と、いってみるが答えは
「…すみません。持ち合わしてないです」という返事。俺はため息一つはいて立ち上がる。
俺だけか?こんな余裕なのは。
「…俺は別に構わないよ。夕姫が本物とかそんなの」
「えっ…?」俺の言葉に呆気としている夕姫の顔。涙が少し出ている顔は最高に可愛いと思った。
「俺さ、中学の時に色々あって…何のために生きてるのか、俺に居場所なんてあるのかなぁって思ってた」
…お、珍しい。みんなちゃんと俺の言葉を聞いてくれているじゃないか。
では、話そうじゃないか。俺の名言をここに残してやろうじゃないか。
「俺は、暴風警報に入ってよかったと今更ながらに思う。だってなぁ、昔の夕姫もよかったが…」
「俺にとっちゃ今のこのメンバー、俺に居場所を与えてくれた夕姫のほうが好きなんだわ」
「!!」この言葉に全員仰天している様子だな。あ、ちょっと無理にでも笑ったのがまずかったのか?
「だから俺は黙ってこのまま勝手に許嫁にされてたまるか。だから俺にも夕姫を会長にする理由が出来た。
今は、みんないわなくていい。わからないことだらけだけど少しずつ心を開いてくれればいい」
だから俺はいってやったよ。初めて主人公みたいなことをいわせてもらうけどなぁ!
「俺の居場所は俺が絶対守る。誰でもかかってこいっ!宣戦布告だっ!このやろぉっ!!」
ってな。俺は部屋の中に自分の声を響かせた。