コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第52話:ある〜日、森の中、くまさんに、出会った♪ ( No.350 )
- 日時: 2010/09/09 00:03
- 名前: 遮犬 (ID: cLZL9WsW)
「それで…どういうことか説明してください…」俺と鈴音ちゃん&一紀という男の子と向かい合わせになる
「まず…ママっていうのはですね、話せば長くなるのですが…」
鈴音ちゃんの話によると、鈴音ちゃんが今日の朝にマシュマロを買いにいっていたとき。
公園で一人泣いている男の子がいたそうで。それが一紀君だったそうで。
んで、どうしても見捨てきれなくて声をかけて生徒会室まできたというわけで…。
そしていつの間にか生徒会室で話していると鈴音ちゃんのことをママと呼ぶようになり…。
始業式の間生徒会室でお留守番させておいて…現在に至るらしい。
「…暗号とかいらなくない?」
「いりますよ〜。もし一紀君が誰かにさらわれたりしたら…」
「いやいや、ここ学校だから。しかも生徒会室だし結構安心だと思うけど…」
俺がこうやって鈴音ちゃんに少しでも反論すると…
「ママにいじわるゆーなっ!」って半泣きで一紀君が俺を止めにかかる。
…う、うわぁ…すげぇ罪悪感…。となるのではどうしたらいいかすぐさま誰かに問いたい気分。
「でも…勝手に連れて来たらダメ…だと思うし…きっと今もどこかで親が捜してるんじゃ?」
「いいよっ!あんな人っ!こっちのママのほうが僕と一緒にいてくれるもんっ!」一紀君はいった。
俺は少し嫌な思い出を思い出し、顔が歪みそうになったが平静を保ち、少し笑顔で一紀君に言った。
「そんなこといっちゃいけないよ?ママ、心配してるよ、きっと」
「奏君…」鈴音ちゃんが俺を気にかけてくれようとしているみたいだ。
「で、でも…いっつもお母さん、忙しい仕事ばかりして…僕のことなんて…」
「そんなはずないよ。一紀君、お母さんはたった一人しかいないんだよ?」黙って俯く一紀君。
「相手をしてくれるかどうかじゃない。ちゃんと心から大切に思ってくれてるかどうかだと思うよ」
そして少しの間一紀君は黙り、そして答えた。
「うん…!僕、ママのところに帰りたい!えっと…鈴音お姉ちゃん?…ありがとうっ!」
「大丈夫ですよ、一紀。それじゃあいきましょうか」鈴音ちゃんが一紀君の手を握り、出て行こうとする。
「あ、俺も…「いえ、奏君には迷惑をおかけしたので…ここで待っていてくださいです」
鈴音ちゃんはどうやら気をつかってるみたいだな。俺の過去はもう一応話したからな。
あとは俺は聞く側になるだけ。…さて、たまには自分でお茶でもいれてみるか。
「あるー日、森の中、くまさーんに〜♪」鈴音と一紀君は二人でお母さんがいるであろう場所に向かった
「えっと…テレビ局?」一紀君のお母さんはどうやらテレビ局の中にいるようだ。
「今仕事中だから会えるかな…?」
「えっと…お母さんってADさんか何かですか?」
「ううん。女優?さんっていう仕事だよ!あ、たまに声優っていうのもやるんだってさ!」
「い、一紀のお母さんって…?」鈴音はどの方なんだろうかと思いながら中へと入っていった。
数分後…。一紀のお母さん、それは普通に有名女優の方だった。
鈴音はもちろんこの人を知っており、ゲーム声優、アニメ声優の女神とまでいわれた人で大興奮。
サインやらどこから持ってきたかわからないカメラやらを取り出し、記念撮影をし…。
大満足でテレビ局を後にしたのだった。ついでに電話番号とかも教えてもらった。
「ふふふ…私の誕生日の日にはあの名曲を歌ってもらったりするのです…!生声…!!ふふふ…!!」
一人で気味悪く笑いながら歩いていると
「へへへ…おいおい可愛い姉ちゃん?アイドルだよなぁ…?」ってな感じでチンピラにからまれた。
「え…?」鈴音はアイドルと間違えられてからまれていると知り、少し呆然とする。
数は5人ほどおり、体育も苦手だから到底逃げ切れるわけがない。
「一緒に俺らと遊ばねぇ?へへへ…!」男共が鈴音ちゃんの腕を引っ張ろうとする時
「あ、その子俺の連れなんで」と、後ろのほうから声がした。
「何だぁ?お前は…?」
その鈴音と同い年ぐらい、というか鈴音と同じ制服をきていた。つまり時雨咲高校の生徒ということ。
「調子にのってんじゃ…!ねぇぞっ!」鈍い音がその少年の頭から聞こえた。
殴り飛ばされた少年はそのままぶっ倒れる。
「はっ!出てきた割には…!弱いじゃねぇかっ!」男は倒れた隙に二発目の蹴りを入れようとした。
「…あ?——ぐぼほっ!」その男は逆に地面に叩き落されていた。
周りにいる男の仲間も鈴音もわけがわからなかった。
さっきまでやられていた少年は笑顔で立ち上がり、こういった。
「さて…顔面に傷もつけたし…これで正当防衛になるよな?」と、いって手で男共を挑発する。
「てめっ…!ぶっ殺すっ!!」男共は少年に殴りかかっていった。
だが結果は少年の無傷で男共は皆、床に体の一部を抑えて転がっていた。
「え、えと…」鈴音が礼を言おうとすると
「あぁ、礼なんかいいって。…じゃ」
「あのっ…名前は…?」
「俺?俺は都上」
そして都上は笑ってその場を去っていった。