コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第60話:暴風警報の誓い! ( No.415 )
- 日時: 2010/12/18 15:13
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)
ものすごい勢いで俺以外メンバーはステージへと出、演奏を季節は秋だというのに汗かきながら演奏。
「疲れた……!」
「バ●オハザードみたいに両手を前にしてこっちに歩いてくるな」
俺は近くに何故だかあったホウキの先で近づいてくるゾンビ化夕姫の額に当てて止める。
「全く……もうちょっと事前に用意とかしたらどう?」
文句を言うのは先ほど助け舟を出してくれた紗希だった。
文句言われるのは仕方ないわな……事実、紗希のおかげでギリギリ助かったんだし。
「結果オーライですよっ!」
一人ポジティブな鈴音ちゃん。てかどっから現れたんだ……?
「失敬ですよっ! 奏君!」
「鈴音ちゃんの心読む能力も何かと失敬だと思うのは俺だけかなぁっ!?」
「かゆ……うま」
「夕姫もゾンビ化やめろっ!」
やはりグダグダ感はずっと抜けない雰囲気を大いに醸し出しているな。
ため息混じりに紗希は「いつもの調子ね……」と、何か納得していた。
「そろそろアニソン歌いたいなぁ〜」
懐かしい声が聞こえたなと思いきやのほほんとした顔が目の前にあった。
その方の名前は聖滝 日向。紗希の姉方である。
「お姉、またキーボード間違えたでしょ?」
「えぇっ! なんで分かったの……?」
「アニソンを口ずさんでる辺りから間違えると思ってたの。なら本当に間違えたから」
「あうぅ……」
日向さんはどうやらキーボードで演奏中にアニソンを口ずさむことが出来るらしい。
すごく器用だとは思うが、演奏中にまでというのはよほど重傷だな……。
「それより、椿と有紀はどうしたの?」
「さぁ? 分からん。それよりまず、その両手を下げろ。人間化しきれてないぞ」
「あ、忘れてた」とか何とかいって両手を下げる、こいつは天然なのかわざとなのかイマイチ分からん。
「あ、元から人間化じゃなかったか」
「どういう意味っ!? すごく意味深なんだけどっ!!」
こうしてボケてもこれだけ盛大にツッコミを返す会長なんてそうそういないだろうな。
「遅れてすみません♪」
可愛らしい声でこちらに近づいてくる——ちょっと待てええっ!!
「何でお前ブルマはいてんだっ!!」
近づいてきたのは椿なんだが……コイツの性別、男じゃなかったか!?
にしても、ものすごく似合うってこれまたどういうことだ……!
「あ、これはですね……皆さんからのリクエストによってはかせていただきました♪」
「それだけでお前は男を捨てたのかよっ!」
すらっと綺麗な足は一本も毛など男らしい部分が無く、人形のように白く綺麗な足であった。
「似合ってるじゃんっ!」
夕姫よ。いくら似合ってるからといってやっていいことと悪いことがあるぞ。
もう俺の心内の中で椿が男という認識から女へと変わりそうで怖い。
「待たせたわね」
続いて登場したのは有紀さん。
これまた何で貴方もブルマはいてるんですか……! 慣れてない人が見ると鼻血ものだな、これ。
「何でこの人たちは学校指定はブルマじゃなくていいのにわざわざブルマを……?」
紗希がそう呟く。
ちなみに紗希の装備は短パンのような……いわゆるスパッツである。
この学校は指定された体育の格好はなく、スパッツかブルマ、それは短パンとなっている。
短パンかスパッツがほとんどでブルマなんて男を喜ばせるぐらいしか役に立たないものは永遠の闇——
だったはずなのだが?
「うん! 暴風警報は皆ブルマってことにしたのよっ!」
「いや、誰に言ってます?」
「奏に」
「あぁ、そうですか……。——ってそうじゃねええっ!!」
何? 暴風警報は皆ブルマ? はは……いや、わけわかんねぇわっ!!
見るといつの間にか鈴音ちゃんもブルマ、夕姫もブルマだった。
俺たちの横を通りすがる人々は皆夕姫たちに釘付けである。
まあ、この学校屈指の美少女&美女揃いだからな。椿は美男子という方に入るのだろうが似合いすぎる。
「奏もはく?」
「誰がはくかああっ!! お前らは容姿優れてる……とかいう以前にっ! 俺男だからっ!」
そこらへんんを忘れてもらっては困る! 俺は暴風警報で唯一まともな男だ。椿はもうあれは別格。
「椿君も男の子ですよ?」
「鈴音ちゃん。じゃあもし俺がブルマをはいたとして……似合うと思——」
「100%似合いません。ていうか絶対嫌です。見ただけで吐気がきます。帰ってください」
「だろ? てかキミキミ、少々言いすぎなんじゃないのかね?」
すげぇ鈴音ちゃんに腐った汚物を見るかのような目の視線を気まずいながらもスルーする。
そんなに罵ったりその目するぐらいなら俺もはけと言いたげな発言は控えていただきたい。
「それで……なんでブルマに?」
一番の疑問を言った本人、夕姫にぶつけてみた。
スタイルの良い体を張りながら夕姫は自慢気に言う。
「それはね……! 萌え、よ!」
「……はい?」
えーと……よく聞こえなかったのは俺だけか? 耳がイカれてるのかもしれないな、うん。
「だから、萌えよっ!」
ダメだ、正常に聞き取れやがった……。
「何で体育祭に萌えを追求する必要があるんだよっ!!」
正常に聞き取れたからにはツッコむしかない。
まあ、どうせアホな理屈で覆されるのだろうが。
「萌えは人間の本能の原点よっ! かぁいいものは世界を滅ぼす! これで決まりよっ!」
「どこからその理屈がきたんだ! それに世界滅ぼしたら元も子もねぇだろうがっ!」
「奏の意見はうるさいので却下しまー」
「俺一応副会長なんだよねぇっ!? 少しは聞いてくれよっ!」
俺と夕姫がそうこう言いあっている間に銃声音が響いた。
それと同時にお決まりの天国と地獄も流れ出す。
どうやら本気で体育祭が始まり、リレーが開催されているようだ。
「もう始まってるみたいね」
有紀さんが髪をかきあげながら言った。いちいち色っぽくみえてしまうのはこれ、ブルマの影響か。
「それじゃあ……教室で出来なかったこと、やりましょう!」
「儀式のことですか?」
「違うよっ! 鈴音ちゃんにまでそのネタ感染したのっ!?」
鈴音ちゃんは不思議な顔をして「何のことですか?」と言っている。
どうやら本気であれを儀式だと認識していたようだ。鈴音ちゃん、恐ろしいよ君の感性も。
「手を合わせてモチベーションを挙げる儀式ですね♪」
「椿にまでっ! ……もうこれ儀式ってことにしようっ!」
あの手を重ねていってモチベーションをあげるあの行為が正式的に儀式と名づけられた瞬間だった!
「紗希ちゃんも日向ちゃんも来てーっ!」
夕姫が手招きをする。
日向さんの方は幼稚園児の如く駆けてくるが、紗希の方は「何で私まで……」と、言いつつも寄ってくる。
そして、それぞれに手を重ねていく。この中で俺だけ男ということは皆さん目を瞑っておいてください。
夕姫の手の上に俺の手を置く。何故だかその温もりにドキッとしたことは心の奥底に閉まって置こう。
そして次に俺の上置いたのは椿だった。笑顔で俺の方を向いている。やめてくれ、女みたいだから。
全員手が重なったとき、夕姫が笑顔で言う。
「それじゃあ……暴風警報っ! のちのち生徒会!! いっくよー!!」
「「おぉ〜〜ッ!!」」
声を挙げ、俺たちは手重ねた手を一斉に下に下ろした。
まだ正規の生徒会でない俺たちは「のちのち生徒会」とつけることで後から本当の生徒会になる。
そういう意味があったことに俺は後から知ることになる。