コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第20話:探偵椎と冴えない男〜後編〜 ( No.74 )
- 日時: 2010/08/01 00:40
- 名前: 遮犬 (ID: icsx9rvy)
俺たちは1−3の教室の前にいた。
「ここにいんのか?」コクリと椎が頷いてドアを開けた。
中は俺たちがドアを開けたにもかかわらず少々賑やか過ぎて聞こえていないようだった。
そしてある一つの大きな塊になっている中から一人の男が俺たちに気づき、こちらへ歩いてきた。
「おー綾下ー。奪還してくれたか?」どうやらこの男が例のブツの依頼人のようだった。
そして椎がブツを渡す。
「これこれっ!ありがとうなー!・・・で、その横にいる冴えない野郎は?」
「冴えてなくて悪かったなっ!!」
「この人、暴風警報の」椎がそういうと男は少々黙り、考えている顔をしてしばらくすると
「あーっ!例の!確か・・・萩原 奏だよな?お前有名だぞ?いやー本物に会えるとはっ!」
「俺が有名?なんで?」
「いや、一人であの猛者美少女、美男子を相手に出来るっちゃあお前ぐらいっていう噂がな!」
「まあ確かにそれは俺だけかもしれないが・・・」
「はは!お前おもしれぇなっ!」今の会話のどこに面白い話題があったのだろうか?
「そうそう!俺の名前は五十嵐 馮河(いがらし ひょうが。よろしくな」
そういって俺の肩をポンッと叩いて耳元で呟かれた。
「お前も大変だな・・・」同情されたよ。なんか知らないが多少腹が立ってしまった。
「一つ、言っておくことがある」
「なんだよ?」
「白帝の騎士団には気をつけろ。」
「なんかすげぇカッコイイ名前だけど・・・何なんだよ?そりゃあ」
「生徒会だよ」やっぱりそうか。そんな気はしてたが・・・。
「会長は二年生の佐野 アリスさんだよ。あの人はものすごいぞ?」
「佐野 アリス?」どこかで聞いたことあるような気もするんだがない・・・ような・・・。
「佐野、アリス。二年生にして絶大な人気を誇る白帝の騎士団の生徒会長。生徒会の中でも人気が高い。今同盟を組んでいる生徒会は数知れない」
同盟というといわゆる俺たち暴風警報と稀穂さんのバニラ・エッセンスのようなものだ。
「ま、暴風警報もかなりすごいけどな。白帝には勝てないとは思うな。あそこは仕事の質が違う」
「へぇ・・・サークルは何やってるんだ?」
「陸上だな。前は全国大会に出場してるな」
「すげぇな・・・」オイオイ、俺のとこの生徒会なんて可愛いもんだぜ?毛の生えたようなライブだなんて
とにかく俺はとりあえず馮河と別れて椎に問いかける。
「さて、何をするんだっけ?」全く論外な質問だろうがハッキリいわせてもらう。何がしたい?
「さぁ?」
「はぃ?」耳を疑う。
「・・・何するんだっけ?」
「・・・ハァ・・・」俺はこの高校に入って何度ため息をついたことだろうか。寿命確実に縮んだな。
「しょうがないっ!また探偵部として手伝ってほしいことがあるんだったら手伝ってやるよ」
「・・・本当に?」
「あぁ!」
「・・・あ・・・とう」
「え?阿藤?(あとう)」
「あ、いらねぇし、別に、わかってると思うけど、必要としてないから、とう」
「…あ、それを省略したって意味!?わかりにくいわっ!!しかも全然あってねぇじゃん!!」
「ドンマイ」
「なんで慰められてんだ!?俺!」
すると椎はスタスタと俺を通り過ぎて歩いていく。
「オイッ!どこにいくんだよ!」
「・・・まだ、依頼がある」
そういって椎は俺の目の前から去っていってしまった。
「・・・・ふぅ。・・・・帰るか」俺はため息一つばかりついた。
任務完了(?)