コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- とある裏切り!のちのち臆病者 ( No.86 )
- 日時: 2010/06/29 23:05
- 名前: @遮犬@ (ID: SmzuliUF)
今は6月付近。もうなぜかものすごい暑さで生徒は皆ダルそうにしている。
夕姫と椿は一年の授業を終わらせているため飛び級クラスというところで勉強しているらしい。
結構この学校はお嬢様やお坊ちゃんが多く、飛び級クラスは多々あるようだった。
ったく・・・暑いなぁ・・・。俺はそのまま眠りに落ちてしまった。
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「ゆーびきーりげんまんっ!嘘ついたらハリセンボンのーますっ!指切った!」
よくよく考えたら怖いこの詩でも小さいころは無邪気に何の意味かわからないまま遊んでたわけだ。
こうして約束ごとを俺たちはしていたのだ。だからそれに習って俺もよくやっていた。
家はとある小さな喫茶店で、俺は親がよく二人で仕事上かなんだか知らないが出かけるせいで
俺は妹と二人で喫茶店を行わなければいけなかった。
「ぐぉっ!」早速俺は下においてあったバケツに足をひっかけ、そのままずっこける。
「大丈夫!?お兄ちゃんっ!」何ともダサいこけ方。だけどそんなことはおかまいなしに妹はくる。
「あぁ・・・奈津、いつもごめんな」妹の名前は奈津という。だから篠原 奈津ということになるな。
「ううん。だっていつものことだし・・・大丈夫だよ!」
いつも妹はニコニコしてて、俺を支えてくれた。この体質を持つ俺にたいしてちゃんと向き合ってくれた。
「さっ!開店しよっ!」
「あぁ・・・」俺は腰を押さえながらシャッターを軽く開けた。
朝の眩しい、清清しい光が俺たち兄弟を覆う。
「うわぁ〜・・・いい天気だねぇ〜!お兄ちゃんっ!」
「ふぅ・・・そうだな」
変わらない朝、いつもの風景。俺は自分の臆病な心を隠すのに精一杯だった。
毎日、自分の臆病さと戦っていることを奈津に知られたくはなかった。
奈津の、笑顔を消えさせたくはなかった。
「奈津」
「ん?何?お兄ちゃん」
「俺は悲しませたりなんかしない。守ってやるからな」すると奈津がとびっきりの笑顔で
「うんっ!期待してるっ!」と、いってくれて
「指きりしよっ!」
「ゆーびきーりげーんまーんうーそつーいたらーハリセンボンのーますっ!ゆびきったっ!」
昔の小さい子供のときのように約束をしたのだった。
だがある時事件が起きる。そう、俺の・・・俺が裏切られたあの時のことである。
そうして俺は父親とケンカをした。そのまま俺は出て行こうとする。
そのとき初めて、本当に初めて俺の前で笑顔が消えた奈津がいた。
泣いていたのだ。
俺は、妹を泣かせてしまった。自分が守らなければいけないものを、壊してしまった。
つまり俺はハリセンボンを飲まなければならないのだが・・・いや、それよりもだ。
俺は逃げるように家を出た。そして、二度とこんな目にはあいたくなかった。
俺は、自分で自分を一発本気で殴った。口から血が滲んでくる。俺はそれだけのことをしてしまった。
そんな俺が、こうして生徒会でゆうゆうと過ごしていていいのだろうか?俺なんかが、
居場所を求めても構わないのだろうか?
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「コラーッ!奏っ!何寝てんのっ!」目の前には夕姫の姿があった。
「・・・・授業は?」
「とっくに終わってるわよっ!次HRで!その次は生徒会っ!」
「あぁ・・・そうか」半分寝ぼけていた俺は目を擦る。
「・・・嫌な、夢を見たな」
「?どうしたんですか?奏君♪」
「だぁっ!顔が近いっ!離れろっ!」
「クスクス・・・はいはい♪」
俺は、臆病者。
それは誰にも知られてはいけない禁断の秘密。
俺は、それを知られたとき、どうするんだろう?
・・・・わかんねーな。