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それは、月の綺麗な夜だった。
塾で帰りが遅くなっても、待ち人はいない……はずだった。

幼い頃に母を亡くしたぼくは、男手一つで育てられた。
そしてその父も、今は単身赴任中だ。

なのに、家のドアを開けると小さな物音。
まさか泥棒！？　盗むような大した物なんてないのに。

どうしたものかと少し考えてから、ぼくは靴を脱いだ。
抜き足差し足で物音のする方へ向かう。

これじゃ、こっちが泥棒みたいだ。
そんなことを思いながらもゆっくりと進む。

そして辿りついたのは


_______何とぼくの部屋だった。