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Re: *。鏡花水月 -Dream×Mirage- ( No.28 )
日時: 2010/06/15 22:44
名前: 美羽。 ◆ikNc8yUYjM (ID: 81HzK4GC)
参照: *。鏡花水月_________それは儚く、消えた幻

*。Episode06 親友と、タコとイカ

「はぁ、はぁ……間に合ったー」

ぼくはあの後すぐに家を飛び出し、全速力で学校まで走ってきた。留守はあの子に任せちゃったけど……
今思うとかなり不安だ。大丈夫だろうか……。
いや、あくまで少女を心配しているわけではなく、“家”を心配してるんだけどねー。

学校の門をくぐって校舎へ向かう。そこに、これまた全力疾走で後ろから駆けてくる男がいた。


「羽月ぃーーー!!」

「何」


ぼくが振り向くと男は止まって隣に並んだ。


「おはよーっす」

「あぁ」

「あぁ……って挨拶変えしてくれないの!? ねえ!!」

「……おはよー」
「うんうん、それで良し」


男は満足そうにそう言った。

単純だなー。ま、そこが良いんだけど。彼の名前は水谷聡。まあ、親友って言うのかなこいつは。
同じ舞加高校の2年3組で、ちょっと(いや大分?)おちゃらけてけるやつ。


「羽月がこんなに遅いなんて珍しいな。何かあったのか?」

「あぁ、それは……」


言いかけてから、ふと考えなおす。

(言ったら変な噂立つんじゃないか? こいつ噂好きの友達多いしなー)


「やっぱり、何でもない」

「やっぱり……って何かあったんだなー。気になるじゃんかよー」


そう言って水谷はタコのように口をとがらせた。


「お前ってさ、タコみたいだな」

「は? 俺がタコならお前はイカだぁーっ!」


意味がわからない……。ま、いっか。どうせもう教室についたし。
水谷は口を尖らせたまま、ぼくは呆れたまま、
2年3組のドアをガラガラと開け放った。