コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *。鏡花水月 -Dream×Mirage- ( No.52 )
- 日時: 2012/01/29 09:36
- 名前: 美羽。 ◆ikNc8yUYjM (ID: 81HzK4GC)
- 参照: *。鏡花水月_________それは儚く、消えた幻
*。Episode08 休み時間
「では宵宮さんの席は、水谷君の……右斜め後ろですね!」
「はい」
先生、なんでわざわざ斜め後ろって……遠まわしに言う意味あったんですか。
つまり、通路を挟んだぼくの隣ってことですね、はい。
宵宮鏡花が席につくと、ホームルームが終わった。
ぼくは事情を聞き出そうと声をかけようとした———が。
「ねぇねぇ、宵宮さんってーどこから来たのー?」
「宵宮さん、さっき転んでたけど大丈夫ー?」
「宵宮さん、どこ住んでるの?」
来たな、女子ども……。転校生が来るたび恒例の行事。「ザ・質問タイム」
それはもう、花に蝶がとまる如く……あ、いや、もう既にケーキに蟻がたかる如く? みたいな。
教室中から集まってきた女子の中心でたじたじとしながらも、一応笑顔で返している宵宮鏡花。
本当に、何でここにいるんだ……?
大体家の戸締まりしてるのか? あ、ぼくが鍵持ってるから無理だな。
ていうか昨日三つ編み泥棒もどきに入られたばっかりだし……。
とうとう何もきけないまま、1時間目が始まってしまった。
その間もぼくは何だか落ち着かず、ぼけっとしてたら先生に叱られた。
そして1時間目は終わり……さぁ行くぞ!! と思いきや……。
「ね、鏡花ちゃんって呼んで良い?」
「私のことも名前で呼んで良いよー」
さっき質問タイムやってたと思ったら、今度は自己紹介かよコノヤロー!!
そしてまた2時間目が過ぎ……。今度は男子別がそわそわと寄り始め失敗。
3時間目後の休み時間、先生に呼ばれてどっか行っちゃって失敗。
ぼくって本当に運が悪いんだね、こりゃ。
とうとう昼休みになってしまったと思い、隣を見ると、少女は既に姿を消していた。
女子に連れていかれたのかと思ったら、そうではないらしく、彼女達も転校生を探していた。
が、結局見つからなかったらしい。
しょうがないからぼくもお昼食べちゃうかー。とか思ってたところへ……。
「はーづーきー!! お昼分けてくれー。小遣いが足りなくて
カレーパンとメロンパンと焼きそばパンしか買えなかったんだー!!」
「いや、充分だろそれ!! しかも何で全部パンなんだよお前!!」
後ろから駆けてけて、ぼくに襲いかかろうとした水谷を軽くあしらい、
突っ込みを入れる。我ながら、ナイス突っ込み。
「堅いこと言うなよー友達だろ?」
「タコの友達はいなかった気がする」
「うわ、ひでえ……。もう良いもーん! 俺、一人で食べるもーん!」
水谷はドカドカと足を踏みならしながら歩いてゆく。
(はぁ、しょうがないなー)
「少しなら分けてやるよー」
「まじですか!?」
一瞬で振り返り、ダッシュで戻ってきた親友(?)
なんか、騙されてる気がする……。
「屋上行こうぜ。あそこ、人いないしさー」
「まあ、良いけど」
水谷の提案に従って屋上へと向かうことになったぼく。
その扉の向こうに、何が待ち受けているかも知らずに……。