コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 憂鬱week! / ( No.107 )
日時: 2010/08/09 18:32
名前: まち ◆05YJ7RQwpM (ID: xixMbLNT)




 私と町田君が付き合って、早一ヶ月たった。

 あまりにも時は早すぎて。でも私は充実感でいっぱいだった。町田君は毎日きちんと放課後、理科室に居て生物のすべてという何巻か続いている本を嗜んでいる。私がたまにミルクティーなどを持っていくと「ありがとうございます」といまだに敬語でお礼を言ってくれるのだ。
 私がどういたしまして、と笑うと町田君はまた生物のすべてを読み始めるのだ。
 夏休みが終わってもう九月となり文化祭が近づいてきたのだ。わが生物部は何をしようかと話し合っているところだった。
 夏休みはきちんと約束どおり町田君が遠くの博物館までホルマリン漬け、動物の骨格などを見た。
 まあ恋人達で来ている人は私たちだけだったけど、町田君があれこれといろいろ動いて楽しそうにしているのが私も楽しかった。博物館自体も、ものすごく楽しかったのも事実だけども。
 
 町田君が生物のすべてをパタンと閉じた。私が文化祭の案を考えているときだった。
 「あのう、千春先輩」
 急に町田君が話しかけてきた。私は「何?」と聞きかえすと町田君は少しだけためらったように見えたけどいつもどおりの表情に戻していった。
 「今日、同じクラスの女の子に告白というものをされました」
 私は何も言わずにただ町田君だけを見た。
 私と町田君が付き合っていることはあまり人に知られていない、知っているといえば私の友達の有理と町田君の兄と友達の隼人君ぐらいだろう。
 「……きちんとお断りしておきました。大好きな、大切な人が居るので、と」
 「そしたら、その子は?」
 町田君は私のほうをじっと見て、笑った。
 「誰ですか? と聞きました」
 「……そしたら?」
 「生物部の部長です、と答えました」
 あえて名前を言わないのが町田君のスタイルらしい。私はそっかと返事をした。
 
 「……私のことそんな風に思ってたんだ」
 町田君は少しだけ首をかしげて笑った。
 「ええ、だめですか?」
 「ううん。なんか……ありがとう」
 町田君がそうやって言ってくれる限り安心な気がした、私も好きとかそういうことを言ったほうがいいのかなと思ったけど町田君が「先輩は言わなくていいですよ、その好きとか。先輩は僕が言った時の表情でわかります」とはにかんだ。

 私の頬は真っ赤に紅潮しているかもしれない。
 「……先輩真っ赤ですよ」と町田君がからかった。
 私は頬を両手で押さえて「馬鹿」と言った。町田君は困ったような表情をした。
 

 ( 町田君と私ととある女の子の話 )