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　たくさん書いたラブレターの中からとっておきの一枚を選んで彼にあげようと思って、でもいつだってそれは私に勇気が無くて、渡せなくて。
　手の中でくしゃくしゃになったラブレターをみてため息を付く、そんなのいつもどおりのストーリー。
　でもね、それじゃあいけないって気づいたの、がんばって走って君を追いかけて。足がもつれて転びそうになったって別にかまわない君を追いかけて、肩をトントンとして彼が振り向いたら少し息切れた声でこういうの。

　「ずっと、ずっと好きでした、私とよければお付き合いしてください」

　ああ、私の両足は擦り傷だらけ、
　でもね彼が笑って私の手をとってぎゅうと握り締めて、それだけで私は涙が出ちゃうのよ。


　(　擦り傷　)