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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: きらきら / 進路の指先 ( No.58 )
- 日時: 2010/07/23 10:45
- 名前: ゆえ ◆05YJ7RQwpM (ID: xixMbLNT)
先生、先生、その呼ぶ名前はものすごく大きな壁で。
私の好きな人は先生です。今年新任で私の高校に数学教師として入ってきました。スラッとした身長で、学生時代は野球をやっていてピッチャーだったらしいです、男の人特有の大きな手に小さな短いチョークで私たちの前に立って、「杉原 信二」と書いた。
それは春の出来事だった。
先生に恋をしたと気づくのはそんなに時間は要らなかった。
私は率先して苦手な数学の係りまでなって、先生のそばに居たいと思って毎回の授業前には重たいプリントや提出物などをわざわざ先生のところに持って行った。あからさまなアピールかもしれないけど、そんなことをしないと私は見られないから。
何百人と居る生徒の中で覚えてもらえないから。
先生のところにいつもどおり、提出物を持って行くと先生とかわいい女子生徒が話をしていた、仲良く。たとえそれがその子が恋心を持っていなくても、先生が私のものじゃ無くても嫉妬という気持ちが溢れてきた。
その子が私に気付き、数学準備室を去っていく。
先生が私に気付いてこっちだ、と言って提出物を置く指示をした。
「……あの、先生」
私が提出物を置いて話かける。
「なんだ?」
「……私の……その、あの名前……知ってますか?」
先生が私の方を見て笑った。小さなえくぼが出来た。
「知ってるよ、園原 まどかだろ?」
ああ、魔法にかかってしまう。
叶うはずの無い恋を思ってしまうほど、私は先生の事を好きになっていたのですね。
先生、どうか私を好きと言ってください。
先生、大好きです。
( センセイとセイト )
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