コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 神より生まれし花 キャラ絵・質問・リク・募集中!! ( No.109 )
日時: 2011/10/29 15:28
名前: フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)

<第13話:邪なる者、強き火>

—翌日

ミトさんの家で寝た俺たちは、ルメルから来た援軍の見送りを行っていた。

「じゃあ、またな、みんな。」

笑顔でそういう俺。
でも返ってきたのはいい返事ではなかった。

「余裕ぶっこくんじゃないわよ。まったく…
こんなんじゃ、カイト兄さんに会わせる顔がないわ。」

ミサゴ姉に指摘される。

わかってるんだ、そんなこと…


俺がもっと強ければ。

俺がもっと早くシーロントに到着して、できる限り闇禍を倒していれば…

シーロントの人たちは、もっと怪我をせずに済んだと思う。


でも、これが今の実力。俺の精一杯なんだ。

「……ああ。まだ弱いよ、俺。


でも、だから今回の任務は失敗したくない。

大切な仲間、町の人たちを護れるくらい強くなるって、決めたんだ。


だから…ミサゴ姉さん、俺のこと応援してくれるよな?」


護りたい。みんなを。

ミサゴ姉はフッと笑うと、踵を返した。

そういうときのミサゴ姉は、認めてくれたってことなんだ。
姉さんは理不尽なことが一番嫌いだから…。




「………で、思ったんだけど、これって…なんですか?」

俺はミサゴが乗った謎の生き物に目を向けた。

「薄い緑色の…竜だよね…?」

隣にいたヒナが、驚きのあまり絶句しそうだ。
たぶん竜。されど竜。

でかっ…!

「ああ、それ僕と契約している風竜族の方ですよ。」

後ろからひょこっと現れた、同じ年くらいの男の子。
隣には…女の子だな。

男の子のほうは、白い袴で、手には何か幾何学模様の入ったカードが握られている。

女の子の印象は、長官と少し似ている。
気が強そうで、凛とした面持ちで男の子を見ているが、なんか不機嫌そうな雰囲気もうかがえる。

軍服みたいな服(?)に二丁の銃がチラっと見えた。
赤い髪を腰くらいまで伸ばしてる。

「えっと…」

「あ、僕は最近、中級風魔法師になった邦矢(ホウヤ)って言うんだ。
そして、隣にいるのが、上級火魔法師の朱世(シュセ)だよ。」

「気軽に呼んだら殺すわよ。」

こ、怖すぎじゃねぇか!!

「あ、あぁ、俺はムエン。まぁよろしく。」

「うん…ごめんね、彼女、気が強くて。」

「ホウヤ、あなたのパートナーになってあげてるだけでも感謝しなさいよ。」

「うん…ありがと…。」

なんか大変なコンビだな…(汗)

『あら、ホウヤ。私の紹介を忘れてるわよ。
どうも!風竜のイルシアナでーす!
冒険がしたくて契約したの。』

勝手に自己紹介を始めてるじゃねえか…。
そういや、援軍が来た時、黒い影が通ったけど、あれ…イルシアナさんだったんだ…。

「はいはい!おしゃべりはそこまでよ!!

これから、ミサゴ・ライトニング・ユウカはここで任務があるから残って。

キサラ・イブキはルメルに戻るの。長官からの指令よ。いいわね?」

「わかりました。ってことでムエン、残ることになるわ。」

帰る気満々だったミサゴは、即、イルシアナから降りた。

「分かった。」

短い返事をしたライトニングさんは、ミサゴ姉の隣に並ぶ。

キサラとイブキさんがイルシアナさんの背中に乗ってルメルのほうに向かっていった。


「魔の神討伐隊は、渡すもの渡した後、すぐ次のルーインに向かわせる予定だったけど、私の気が変ったわ。








…ムエン、1日特訓やってみない?」


それは、あまりに唐突で、

あまりにあっさりと言われて、


……どう答えたか分からないまま、ミトさんと特訓に励むことになってしまった。







—魔法都市 ルメル

現在、正午。

シーロントへ向かわせた援軍が帰ってきた。

とはいっても、ミサゴとライトは向こうだが。


私は長官室で、キサラ・イブキ・黄牙(コウガ)・スズク・ミオ・シュセ・ホウヤを集め、
討伐隊とは違う任務を言い渡していた。

それは…

「て、偵察…ですか?」

ミオが信じられないという顔でこちらを見る。

「あぁ、能力…その他力量を考えた結果、このメンバーで行くことにした。」

「で、ですが、私、か、下級で…とても…ち、力には…。」

おどおどしているスズクには、はっきりいって申し訳ないとは思う。

だが、

「悪いな、スズク。だが、お前の魔法は今回の切り札になるはずだ。」

スズクの魔法は無効化。

今回、多くの敵に囲まれた場合でも彼女の力をうまく合わせれば、切り抜けられる。
そう思って入れたのだ。

「だ、大丈夫、かな…」

「大丈夫だよ、スズっち。スズっちの魔法って強力だもん!」

そんなスズクの歳に近いミオを選んで正解だったな。

「が、が、がんばりますっ!!よ、よろしくお願いしま…きゃあっ!」

スズクは、勢いよく頭を下げたと同時に、机にぶつけた。

「いたたた…。」






「今回向かってもらうのは、古代遺跡のアマナス。
あそこは、古くから伝わる神殿だ。
闇の力が強いため、闇禍の発生地ではないかとも言える場所だ。
…実際は違うがな。

今回、そのアマナスについて、調査しようと思う。
危険が高いので、これを持って行くんだ。」

私は、握りこぶしほどの虹色の石をコウガに渡した。

「…これは、結界石ですか?」

コウガは、片方に木の杖を持っている。
もう片方の手で、お手玉みたいに大事な大事な結界石を…

「コウガ、それを落としたらどうなるか分かっているのか(怒)。」

「す、すみません!」

あわてて袋に入れるコウガ。

ったく、ルメルを護る結界石だというのにこいつは…!

大方任務の方法を知らせた後、全員を解散させた。




「いるんだろう、出てこい。」

違和感があった棚の上から、ひょっこり顔を出す子供。

「うけけけ、分かったんだ。すげー。」

「お前は誰だ?ちびすけ。」

「ちびじゃないぜ、ボクは夜忌(ヨキ)。『炎の三つ目霊』って二つ名があるんだ!」

瞳の色が闇色…

「お前は暗黒魔法師か。」

「うーん、正確に言うと、暗黒と火、かな!!強いんだ!」

「…用件はなんだ。」

「あっ、忘れるとこだった。

           じゃあ、始めようか!」



       邪なる霊たちによる、闇の劇場を…!