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Re: 神より生まれし花 キャラ絵・質問・リク・募集中!! ( No.112 )
日時: 2011/11/10 16:17
名前: フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: cPNADBfY)

<第14話:閑話 瞳に映るは熱き思い>

これは、私がまだ十代の頃…。

1年が経った時だった。
周りでは、主属性が確立し、中には副属性の特徴も出てくる奴がいたりしていた。

私も、その一人。
主属性は火で確実。

…副属性などはないと思っていた。

「では、エンランさん。中級火属性魔法を、見本としてやってみてください。」

下・中級との合同授業では、一人が見本になり、その見本を頼りに各自の魔法をより確かなものにするということが行われる。

「頑張れー!エンランちゃーん!!」

「コウメイ…今は静かに。」

コウメイやカイトは、私と同じ中級であり、中級クラスの中で成績がよい。
そのため、見本となることも多々あった。

私も…その一人だ。

「馬鹿は無視して…。

……いきます。

        フレイム・ロンド!『炎の舞』!!」

桧扇から放たれる、爆炎の渦。
こう言っては何だが、私はこの桧扇から舞い散る炎が好きだ。

炎は私を照らし、暖めてくれる。

しかし、今日はいつもと違った。

暖かみが感じられない…。


「…どういうことだ…?」

だが、先生は成功と判断しており、下級の魔法師たちは歓声をあげている。

私は無言でカイトたちのもとに戻った。



「どうかしたのですか、エンラン。」

表情を悟ったカイトが、心配をかけてくれる。

「…いつもの魔法とは違った。あれは、私の魔法じゃない。」

「そうか?エンランちゃんの魔法はいつでもワイの心にいたたたたっ!?エン、ランちゃ、扇でなぐっ!ら!いっ!だっ!」

「…ばか。」

しばらくの間は、コウメイを桧扇で殴り続けることによって不安を解消させた。

「調子が悪くなる時もありますよ。魔法というのは、変わりやすいものです。
自分の気持ちが急にうれしくなったり、悲しくなったりするのと同じように。」

「あぁ。けれど、このままではろくに火魔法が使えなくなってくるんじゃないかって思うが?」

「そうですね…。エンランも上級候補ですし…。

なら、長官を訪ねてはどうだろうか?
長官も火の魔法師ですし…。

何かいい案をいただけるのでは?」

長官…このルメルを創立させた火の魔法師…。

そうだな…

「わかった、行ってみる。」

「よかった、役に立てて。」

カイトは授業後、気絶と瀕死状態のコウメイを連れていった。


私は、ほかの火魔法も試してみるため、授業後もその場に残っていた。









「…フレイム・クロス・スウィング!『紅の蛇』!!」

いつもは文字通り、紅色の炎を纏った蛇があたり一面を覆う。
得意になってきた上級魔法だったが…


「なんで…こんなにも冷たいんだ…?」

どの魔法も同じだった。
まるで、……そう、氷のように冷たく感じる。

その時だった。


「君の魔法には、心がこもってないんじゃないかな?」

「え…あ、あなたは…!」


澄んだ橙色の瞳に、緋色の髪。
男性にしては、華奢なイメージが持てそうだが、雰囲気からはそうは感じられない。

初代ルメルの長官、上級火魔法師の焔(ホムラ)だった。
まさか、会いに来たのか…?


「ごめんね、せっかく練習していたのに。」

「い、いえ…。」

失敗魔法を見られるのは、あまり良くないが…。

「長官は、なぜここに?」

「散歩だよ。いい加減、大量の書類に飽きてきてね。
そうしたら、僕と同じ、火の魔法を使っている子に出会えたってことだ。

…そういえば、君の名前は?」

「私は、中級火魔法師の焔蘭…です。」

「…そうか、君が上級魔法師候補の…。
僕の焔の字が入っている子だね。会えて嬉しいよ。」

…なぜか私もうれしかった。

あの後、長官はたくさん話をした。

日々の生活や、少しくだらない話…
火の魔法を使うときのこと、長官になった時のこと…。

「君の魔法は、君自身の魔法だ。
僕から見た君の魔法は、…まるで、炎を操りながら舞い踊る天使のようだね。」

「……ありがとうございます。」

長官の言葉は暖かい。
あの言葉は、私の気持ちを包み込んでいった。






長官は、私が上級になってしばらくして、亡くなった。





亡くなった原因は、いろいろ言われているが、
そのとき、私はこう思ったのだ。

…私は、焔長官が好きだったんだということを。