コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 神より生まれし花 ‐真実は何処に…‐ ( No.120 )
- 日時: 2011/12/03 15:50
- 名前: フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)
<第16話:輝き舞うは、神秘の煌き>
——長官室前廊下
僕は、任務に出かけるコウガ達を見送った後、医療に必要な道具を運ばなければならなかったので、急いで医療舎に向かっていました。
そうそう、医療舎はこの長官室の階……つまり2階の方から行くこともできます。便利ですよね。
それはそうと、ムエンはシーロントで無事かどうかも気になります。父親ですし。
……レンスイが生きていれば、心配しすぎで倒れていたかもしれませんね。
けれど、彼女はもういませんし、気にしていても、ムエンを心配させることになるだけです。
…話がそれましたね。
長官室の前に来ると、何か嫌な予感がしました。
黒い…、これは……っ!?
「エンランッ!!大丈夫ですか!?」
ドンドンッ!と2回ほど叩きましたが…返事がありません。
鍵はかかっていないはずなのですが、押しても引いてもびくともせず…。
「こうなれば、仕方ありませんね。」
扉の修理費は覚悟しましょう。大丈夫です、どこかの誰かさんのように粉砕とかはしませんから。
「『水よ、悪しきものを浄化せよ』!
ブレイク・ウォーティル、『水衝撃波』!!」
水の流れを集め、弾丸となって対象を吹き飛ばす。
魔力で調整し、一気に開放。
ダンッ!!と当たったかと思うと、すぐに魔法が解けてしまいました。
「解呪魔法付き…ですか。…これは難解ですね。」
『難解』なのは魔法のことだけではありません…ほら。
「グオオオォォォオオ…!!」
どうやら、パンドラの箱を開けてしまったみたいです。
次から次に闇禍が現れてきました。
全部で……十数体…ですか。
「エンランほどではありませんが…本気を出しましょうか。」
——異空間
爆発によって宙に浮く、私の身体。
地面が近づき、2,3回打ち付けられる。
「クッ!!」
「うけけけ!甘く見るとそうな……えっ?」
ヨキは愕然とする。無理もない。
足以外、私の身体は無傷だったからだ。
それはなぜか、考えてみろ。
「なんで、生きてるんだ…?あの爆発力は下手すると、家を一軒吹き飛ばしてもおかしくないのに!!」
前に…アイテムと魔力の関係について話さなかったか?
魔力が強ければ強いほど、そのアイテムは鋼の如く耐久性に優れる、ということを。
知らない?なら第1章の15話を見ておけ。
それで、だ。体内の魔力を外に放出するのは?
いとも簡単にできるさ、上級ならな。
足の方を防御させるのは難しいから、多少怪我は追ったが、動けないほどではない。
……が、魔力を浪費した。これはちょっと、『精霊』に力を借りることになる。
「家を丸ごと吹き飛ばすことが、そんなに驚くことか?
私なら、敵の本拠地をマグマの海にするが。」
…ただし!そんな魔力を使う暇があれば、の話。
マグマ化するまでに時間がかかるだろうが。
「な、んだと…?」
こんどは……こちらから攻める番だ。
「それじゃ、いくぞ。『炎よ、舞い踊れ!』
赤く燃える炎の精よ、今、我に力を貸し給え!!
炎の精霊……フィラン召喚!!」
魔法石から、複雑な魔法陣が集まり、緋色に輝く球体が姿を現す。
契約した精霊は、魔法石を通じて召喚する。
そう、私は精霊の試練をクリアし、精霊と契約を結んだのだ。
『お久しぶりです、エンラン様。』
紅色の髪に同色の瞳をした手乗りサイズの精霊は、リボン結びの形とも蝶の羽ともいえる羽を動かしつつ深々とお辞儀をした。
「久しぶりだな。早速だが、…頼むぞ?」
『はい。…ですが、加減なさいますよう。』
苦笑しつつ了承する。
ヨキにはさっぱりの上、精霊まで召喚されたのもあり、驚く以外に方法がないようだった。
「ヨキ、お前は火の怖さしか知らないな?」
「…何が言いたいんだよ!!意味わからねぇし!!」
「お前に…教えてやる。『炎』というものをな。」
同時に、私は魔力を引き上げた。
波打つ鼓動と連動しながら、自分を覆う魔力がどんどん激しくなっていく感覚……
そして、始める。私だけでない、真の強さを知る者だけが、できることを。
「『煌く炎は花の如く舞い、零れる光は闇を照らす!
思いは強くあれ、さすれば叶わん!』」
カッ!…とまばゆい光が照らしたと思うと、エンランの手には武器である桧扇と、真っ赤に燃えたような炎の扇を両手にそれぞれ持っていた。
これは、私の武器の『第2の姿』だ。
炎の渦、いや、白い炎が花びらとなって地面へと落下する。
「白い炎なんて、聞いたことがないっ!そんな火でボクを倒せると思うのか!?」
「フッ、この魔力で卒倒しないとは感心感心。フツウの魔法師は腰を抜かすぞ?」
「う、うるさいっ!!め…『冥祭〜炎の輪廻〜』!!」
ヨキの両手に、炎を纏った大車輪が4つほど現れた。
「負けるか!!いっけぇぇ!!」
器用にも4つ同時に操ってきた。
「フレイム・クロス・スウィング、『紅の蛇』。」
対する私は微動だにせずに、得意の攻撃魔法でシールド。
……おっと、火力が強すぎて火の輪が黒こげになったようだ。
「…はっ?な、何…で?」
「お前のような赤い炎というのは、まだまだ温度が低いんだ。
本当に高温の炎というのは……白く、一瞬で灰にするんだ。」
「ひっ!?」
さて、ここまで追い詰めたらもういいだろう。
カイトなら、そうするだろうしな。
普段は使わないが、もう二度と危害を加えないように祈る。
「フィラン、準備を。………、よし。」
『わかりました。』
ヨキには私が何をしたか、わからないだろう。
「フラム……エル…、
シュヴァル……ラム…
ヴィオール、ヴァク!」
『炎を纏いし、翼をもつ馬の化身よ、刃となり、激しい波となれ!!』
精霊と私の、二つの魔力を合わせた混合魔法。
精霊をもつものしか、発動できない。
精霊が言った通り……私の炎を纏った馬が現れ、嘶いたかと思うと真っ直ぐにヨキの方へ駆けて行った。
「う……わああぁぁぁぁぁああっ!?」
……やれやれ、下級(?)相手に本気は疲れたな。後で、カイトやセイラとお茶するか。
お…そうだな、折角だしヨキもいいか。