コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 神より生まれし花‐真実は何処に…‐ ( No.14 )
日時: 2011/05/03 23:55
名前: フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: HPru.2N2)

<第10話:闇の花>

3人は武器を構え、1体ずつ闇禍を攻撃することにした。

「この闇禍は、『属性順応型』やな。魔法攻撃するごとに、闇禍に属性の耐性がつくんや。」

「強力な魔法で仕留めないといけないってことか。」

エンランは、扇子のような武器に集中を高めつつ答える。

「迷う暇はない。この際ぶっ放すで!!……クロス・プレス・アーシクル!!『大地の槍』!」

「行きますよ!ウォーティル・ストライク!!『水流刃』!!」

「援護する。フレイム・スモーク!」

エンランの放った煙が、真っ先に闇禍に届き、闇禍の体が赤くなった。

そこに、コウメイの地属性魔法と、カイトの水属性魔法が襲いかかる。

闇禍は、カイトの魔法をギリギリのところでかわしたが、雨のように降り注ぐ大地の槍には防ぎようがなかった。

断末魔の悲鳴をあげて、消滅する。

「…多勢に無勢か。気配を消してきたものの、こんなところに星の一族がいるとは想定外だったな。」

「お前は…一体何者だ!!」

「…我が名は…邪月。この世を闇で満たそうとする、闇の花。」

「闇の花…?!」

「雪ちゃんと何か関係があるのかしら…。」

「今回はお前達を見逃してやろう。だが、次に会うときは容赦はないと思え。」

「待ちなさい!!」

カイトが捕まえようとしたが、あと一歩で邪月は消えた。

「逃がして…しまいましたね…。」

「…カイトさん。」

「…雪、無事ですか?」

「はい。」

と、その時だった。

—ダダダダダ…

「今、ものすごい闇の力を感じたんですけどっ!!!!!」

猛スピードで走ってきた、ムエンとコウセ。

あまりにもスピードを出しすぎて、危うく長官を押し倒しそうになった。

「ムエン!コウセ!お前ら…医療舎の廊下は走るなと言っているだろう!!」

「す、すんません!!」

「一番悪いの、ムエン。」

「何でおれだよッ!」

「あら、ムエン君じゃない。久しぶりね。」

長官の後ろから、セイラがにっこりと笑う。

「セイラさん!」

「お母さん…。もういいの?」

コウセは悲しそうな顔でセイラを見つめる。

そう、前述でも明らかだが、セイラはコウセの母であり、二人は星の一族だ。

「ムエン、他の2人はどうなんだい?」

カイトが雪を連れて扉の前に来る。

「もう大丈夫!闇禍の能力みたいなものにやられたけど、だんだん効力がなくなって、今はもう元気だ。」

「そうですか。」

「…で、古文書は何処だ?」

「あ、それ、ワイが持ってるで。ムエンらは闇禍に殺されそうやったから、ワイが助けて古文書も取ったんや。」

「ムエン、そんなに手こずる相手だったのか?」

「か、簡単なことのように言わないで下さいよ、長官…。」

「あの闇禍、異常。普通じゃ、無理。」

「…そうか。お前らには少しばかり難しい任務だったか。」

「…え?」

長官がそんなことを言うのは、極めて稀である。

「も、もしかして長官、俺らのことを心配して…?」

「…ちょっと見なおした…かも。」

「これでお前らには、相当な修業が必要だって事が分かったな。」

「…前言撤回。やっぱ長官はいつも通りのスパルタ痛たたたたたっ!!」

「そんなことを言うのはその口かムエン!!」

長官は、ムエンに頭上からげんこつを連発。

この後ムエンが、しばらく頭痛に悩まされたのは言うまでもない。

「さあさあ、エンランもムエンもお遊びはそこまでにしましょ?ね?」

「…セイラちゃん、これ、お遊び?」

「あら、違うの?てっきり、上司と部下のスキンシップかと。」

「セイラのその感覚…どうにかならないものですかね…?」

コウメイとカイトは、苦笑いを浮かべるしかなかった。




「…で、これからどうするんですか?長官。」

ムエンは頭をさすりつつ、長官から指示を待つ。

「ああ。そのことだが、昼食を取りながら話そうかと思ってな。セイラが用意してくれたからな。」

「お母さんの手料理、おいしい。」

思わず微笑むコウセ。

「久しぶりだから、味の方に自信がないけどね。」

「フウイとヒナシにも来るように言え。」

「…そういや、俺らだけなんですか?他にも魔法師はたくさんいるのに。」

「…、…お前たちが一番いいんだ。」

「…?」

「とにかく、呼びに行く。」

コウセはムエンの袖を引っ張る。

「あ、あぁ。分かった。雪は?」

「もちろん連れて行きますよ。おなかすいただろう?」

「は、はい…//」

恥ずかしさで頬を赤くする雪。

と、同時にムエンの頬も少し赤みを帯びる。

「(かわ…)」

「…惚れとんのか?」

「!!!」

後ろからコウメイに小声で話しかけられたムエンは、少なからず驚いた。

「図星やな。ま、恋する男、ガンバ。」

「…て、勝手に恋って決めんな(怒)」

「ははは。」


とりあえず、ムエンとコウセはフウイとヒナシを呼びに行く。

エンランはコウメイと、カイトは雪とセイラを連れて、広間に向かった。