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Re: 神より生まれし花‐真実は何処に…‐ ( No.15 )
日時: 2011/04/23 22:24
名前: フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: HPru.2N2)

<第11話:それぞれの決意>

—長官室

「…10年もの間、どこに行ってたんだ?」

エンランは、行方不明と思われていた張本人…コウメイに問いただすかのように口火を切った。

「10年か。思えば長いような短いような。」

「10年前の、あの日から突然姿を消した。なぜだ。」

「…エンラン。知っとるか?…『神眼』。」

「1000年に1度しか生まれない、神の目を持ち、未来の出来事を視ることができる目。…それが?」

「…10年前は、嘘やって思った。」

「何が…お前、まさか?!」

「ピンポーン♪…ワイが『神眼』を持つものや。」

「何で今まで音沙汰もなしに、黙って…!」

「言うたやろ?…でもな、神眼にもいろいろあってな。だから放浪の旅を続けたんや。」

「いろいろなこと?」

「先が分かるのは、年内に大きな出来事がある前。」

「魔の神…。」

「そうや。…あとは、闇禍の能力が異例やろ?つまり、普段からすると、あり得ない状況が起こると、神眼はそれを教えてくれる。」

「特殊な状況下になると、分かるのか。」

「…あと、これは、言うべきか迷ったんやけどな。」

「…話せ。」

「分かった。…ムエン君や。あの子、『光』の能力を秘めた、雪ちゃんの運命の人や。」

「な?!ムエンは水、風属性の魔法師だ!光があるなど…。」

「このこと、ムエン君には言わん方がええ。彼は…。」




—広間に向かう廊下

「昼飯!」

俺たち4人は、普段あまり使われていない広間に向かった。

使われていないって言っても、清掃係さんがきれいにしてるから、いきなり使うことになっても準備万端だ。

「ムエンったら、はしゃぎすぎでしょ!!」

そう言いつつ、ヒナの顔は笑ってる様に見える。

「二人とも、はしゃぐな。昼食とはいえ、今後について話すのだからな。」

「フウイ、でも、お昼、楽しみにしてそう。」

「…滅多に家庭料理が楽しめんからな。」

「…フウイの家庭、なんか気になった。」

「ほら、早く行かねえと!」

「待って!」

「だから走るなと…ハァ。」

「上司は、部下をまとめるの、大変。」



—広間

「やぁ、来たね。」

「ムエンさん、ヒナシさん、コウセさん、フウイさん…」

「お、合ってる合ってる。けど、俺はムエンでいいぞ。」

「私はヒナシでいいから!雪ちゃん!」

「コウセって、呼んで?」

「えっと…分かりました。」

「さぁ、後二人ね。今日は『リゾット』よ。」

「コウセの家の定番メニュー!」

「…大好き。」

「リゾットかぁ!最近食べてなかったからなぁ。」

「…???」

「リゾットと言うのは、ご飯を使った料理ですよ。」

「そう!セイラさんはコウセのお母さん。セイラさんのリゾットは、魔法師のみんなが認めるくらいうまいぞ!」

「そうなんですか。」

「じゃあ、雪ちゃんに先に食べてもらいましょう!」

セイラさんは、雪の分を取り分けた。

「はい、これがリゾットよ。」

今回はトマトリゾットだ。

「わぁ…。」

雪は興味津々のよう。

「スプーンですくって食べるんだよ。」

「…これ?」

雪は、皿の横に置かれたものを指した。

「そう!」

雪は、リゾットをすくって、おそるおそる口に運んだ。

雪の反応を見る。

「…お、おいしい!」

…今まで笑わなかった雪が笑った。

「やったぁ!!!雪ちゃん、笑ったぁ!!」

「え、あ、その…//」

「雪が笑ったらうれしいんだ、みんな。」

「みんな…?」

「うん。」

「ありが…とう。」



「…よかった。少し元気になって。」

「エンランが、この子たちに任せようとしている理由が分かる気がしたよ。」

しばらくすると、長官と、コウメイって言ってたよな。
その二人が来た。


「…これからについて話すぞ。今、古文書の封印、及び文字の解析を行っている。今は、お前たちの修行が先決だ。」

「えっと、長官。私たちが修行する間、雪ちゃんは?」

「そうだな…。」

って、考えてなかったのかよ!!

「俺は、一緒がいいと思う…。」

「あかん。修行する場所は確定済み。けど決して闇禍がおらんわけやない。危険や。」

「ちなみに修行する場所は?」

「ああ。そのことだが、ルメルを出て南東側にある、喪失の森ロシェストがいいと思ってな。」

「…は?」

「なんだ?」

「だ、だってあそこは自我喪失で有名な森ですよ?!それに…3日前の大雨で橋が…。」

あの森の怖さったら…。自我喪失だけでなく、混乱、暴走、毒のある植物がたくさん…(汗)

悪夢を見せられる館、『夢の館』もあるんだぞ!!

「んなの、北西の橋から港町シ—ロント、ぐるっと上の大陸から行けるだろうが!」

「…orz」

「文句を言うな。続けるぞ。」

「君ら、まだ精霊をつけてへんやろ?」

精霊…それは万物に宿る小さな霊。

四大元素の精霊は、ほとんど精霊山にいる。
けど、まれに街に出没したりすることがある。

人と契約をすると、属性ごとに強力な魔法がつかえて、便利は便利だ。
でも、問題は…

「精霊の試練に合格できる人、ほぼいない。」

「特に、四大元素系は厳しい試練だと聞いていますが…。」

「お前らは、これから、厳しい戦いになる。私たちよりも、お前たちの方が可能性が高いんだ。」

「子供は、素晴らしい成長を遂げるもの。きっとできるわ。」

「…分かりました。」

「私も。…ちょっと嫌だけど。」

「…頑張る。」

「やるしかねえか。」

「…で、雪はどうしたいんだ?…ムエン達と、行くか?」

しばらく目をつむる雪。

「行きます。これは、神の花の使命。邪月、そして、魔の神復活を阻止するために!」

「…よく言った。だが、魔法無しに行かせるわけには…。」

「大丈夫です、私の魔法はあります。」

「えっ!雪ちゃん、魔法、使えるの!?」

「はい、この魔法は、天魔法と言います。」

「天の魔法なんて聞いたことがない…。」

父さんも知らないようだ。
もちろん俺も知らないけど…。

「でも、強力で何回も放てないんです。」

「そうか。…フウイ、ムエン、ヒナシ、コウセ、そして、雪。今からお前たちに、護衛及び魔の神復活阻止任務を与える!!」

『!!!!!!』

「このあとすぐに、『魔道具屋 クラウディ』、あと、『薬屋』の澪(ミオ)にもアイテムを預けてあるから、取りに行くといい。出発は明日でいいだろう。」

「それまで休憩&準備ってことでな♪」

「よし、行くぞみんな!!」

俺たちは早急にご飯を食べ終え、準備に取り掛かることにした。