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Re: 神より生まれし花 アンケート実施中! ( No.42 )
日時: 2011/04/23 22:33
名前: フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: HPru.2N2)

<第15話:旅立ちの夜>

ヒナシとコウセと合流したムエンと俺は、とりあえず現状だけ報告しあうことにした。

「失敗だったの?その、氷の鏡を借りるのに…。」

ヒナシは不安げな顔をする。俺も疑問があった。

「おかしいな。普通、そこまで拒否をすることなどないだろうに。」

「俺には分からねぇ。けど、ミオが明日までには何とかするって言ってるし、大丈夫だろ。」

確かに仕方がないだろう。それにもう夕方だ。

「もうすぐ、闇禍が出てくる時間になる。そろそろ各自、家に戻った方がいいだろう。」

「うん、そうだね。兄さん。」

「明日に、備えて、準備。」

ヒナシとコウセは賛成した。ムエンはそれを聞くと、雪にこう尋ねた。

「そうだ、雪。雪は俺の家に泊まらねぇか?」

「え…?」

すぐさまヒナシが叫んだ。

「ダメよダメ!!雪ちゃんとムエンが一緒はダメ!!」

「なんでだよ…。」

「ムエン、一人暮らし、ヒナシの家、魔法師いっぱい。」

…つまり、俺の家には魔法師がいないから不安だと言いたいんだな。

「…けど、俺、決めたんだ。雪を守るって。」

「うーん…でも…。」

ヒナシは納得いかないようだ。

「あの、ヒナシちゃん。私、ムエン君の家に泊まるよ。だって、家の中で私一人じゃないし、いざとなったら魔法使えるから。…ね?」

「むぅ…仕方ない、分かったよ、雪ちゃん。けど!!ムエン!もしも雪ちゃんに何かあったら、私とコウセが承知しないんだからね!!」

「私とヒナシ、雪ちゃんを守る会。只今、結成。」

「分かったって。…つーか、会なんてあるのかよ!」

「それでは、明日、北西の橋の手前に集合だ。」

『了解!!』

そうして俺たちは、各々の家へと向かった。







—ムエンの家

「ただいまー、って誰もいないけどな。」

「おじゃまします。」

ムエン君の家は、想像より広く感じました。

「じゃあ、俺は夕ご飯作るよ。雪はくつろいでてくれ。」

「あ、私も手伝うよ。だって、泊まらせてもらうから。」

「…そうか?じゃあ棚にある皿を取ってくれ。」

「はい!」

私とムエン君は、一緒にご飯を作りました。

今日のご飯は、スパゲッティーと言うそうです。
初めて見る食べ物です。…まだ、記憶が戻っていないから。


と、そのとき、ムエン君の魔法石が青色に光りました。

「…ん?…『ミオ』からの通信要請か。…許可する。」

ムエン君がそう言った瞬間、魔法石の上の方に映像が出ました。
ツインテールの女の子が映っています。後ろにも一人の人がいます。

『ツバメっち!!うれしい知らせ、持って来たよ!!ツキヨさんから氷鏡が借りれるようになったんだよ!!』

「マジか!?…けど、何で今更?」

『…すまなかったな。』

『ツキヨさんに悪気はないの!私たちが、ツキヨさんのところに訪ねたとき、氷鏡は割れてたんだって。』

「氷鏡が割れた?!」

『うん…。ツキヨさんの任務中、喪失の森ロシェストで、夢の妖精ってのに攻撃されて割れたんだって。ツバメっち、魔力で創った時のアイテムって、そう簡単に壊れないのは知ってる?』

「あぁ。魔力の高さに応じて、アイテムの密度が高くなる。だから、鋼鉄のように硬くなるんだろ。」

『当たり!でもね、大した攻撃じゃないのに割れたから、戻って来た時にはもう、魔力が限界だったんだって。だから断ったって。』

「そっか…。ツキヨさん、俺も言い過ぎたと思います。すみません。」

『お互い様だ。気にするな。ミオ、私は用が済んだから帰るぞ。』

『あ、はい!…んじゃ、明日渡すからね、ツバメっち!』

「今更だがその名前で呼ぶな!!またな。」

『うん!』

そう言うと、ミオさんの映像は消えました。

「一応、フウイに報告しとかねぇとな。」

ムエン君はフウイさんを呼びました。
フウイさんに大体のことを説明すると、フウイさんは何か考え込みました。

「どうした?フウイ?」

『…いや、何でもない。ムエン、明日は遅刻するなよ。』

「って、うるせぇ!分かってら!フウイのくせに…!」

『ちなみに俺は一度も遅刻をしていないぞ。じゃあな。』

「くそー…、絶対お前より強い魔法師になってやる…!!」

フウイさんとの通話は切れているのに、なぜかつぶやくムエン君でした。


—続きます。