ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

＜第２章修行編：第１話：闇夜の少女、海の町＞

—港町　シ—ロント

ムエン達が旅立つ前日の夜、シ—ロントでは町の者には知られざる事件が起こっていた。


「…ここに、一つ目の『結界石』があるのですか。主様。」

黒い長髪、闇の者だけが持つ闇色の瞳。
２６，７歳であろう女性は、隣にいた男…邪月にそう問いかけた。

「あぁ。街の長には知られないように、手早く済ませるんだぞ。…春鈴（シュンレイ）、いや、『黒竜』。」

「…はい、お任せください。主様。」

シュンレイと呼ばれた女性は、そう言って、黒い翼…黒竜の証の翼をはばたかせてシ—ロントへと向かった。



黒竜は、闇の者。魔の神から生まれた産物。
その力は、邪月に次ぐ。


—私は……魔法師が憎い。私をバカにし、『失格魔法師』にした魔法師が…。



町の宝であり、町を守る手段ともいえる『水の結界石』が盗まれたのが分かったのは、町の長付きの精霊が、明け方に見回りに来てからであった。



「…これで、また、君を手に入れる機会が増えたよ、雪。」

シュンレイを行かせる間、邪月は次々に闇禍を作り上げる。
闇禍はその場から散り、結界の力が薄れたシ—ロントへ。


「さぁ、どれだけ耐えられるかな?」


月に照らされた邪月には、黒いオーラが漂っていた。