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Re: —A shine of light— ( No.64 )
日時: 2010/07/18 23:53
名前: むーみん (ID: 2.GeU6Nm)


→番外編。全ての始まり



「……え? 今なんと?」

「だから、お前に俺の能力を預ける。もう疲れた。無理」

「ごめん、言ってる意味がさっぱり分からないのですが」

これは今から4年ほど前の話。
俺が中学一年の頃…つまりコロネオに所属する前の話だ。

いつも通り夕飯を終え、部屋へ戻ろうとした時親父に呼び止められた。
いきなり、魔術師になれと言われても。
いや、うちの家が普通じゃないことは薄々気づいている。親父は夜中急にどこかへ出かけ、ぐったりして帰ってきたり、母親は不思議がらずにそれをあっさり認めたり。
でも、今さっきまでそれはきっと俺には無関係なことだと信じていた。否、信じたくなかった。

なのに、なのに! なんなの、この展開。

「お前を剣道部へ入れたのは、まぁ、そんな理由もあってだ。お前、それなりに強いから、何とかなるよ」

「断る。全力で」

「お前、一人息子なんだから頼むよ。お前しかいないの」

「無理」

「それでも俺の血ぃ引いてるんだから、魔術ぐらい使えるよ。ほら、これ」

そういうと、親父は首にかけていた透明な石のついた首飾りを俺に渡した。
光を当てると、眩しいくらいに光るそれは、何とも魅力的で、思わずずっと見つめてしまっていた。

「やっぱり、お前も俺の子だ。それ、やるよ」

「まじで!」

「うん、だからこれからここへ行け」

はめられた…! 親父が渡したのは乱雑に書かれたこの街の地図で、地図の中には見なれた建物が並ぶ中、バツ印が示してある。
それは無論、コロネオの位置を示したものなのだが、その時の俺は気付くわけもなく、わけもわからぬまま、地図を頼りに家を出ることとなった。…と言うか、親父に無理やり家を出された。

「いやいや、魔術の使い方も分かんねーのにどうしろと!? そもそも魔術ってなに!? あほかお前っ、押すなっ」

「使い方ならお前が小学生の時教えただろ。あ、その魔法石ないと魔術使えねーから気をつけろよ! なくすなよ!」

…あ、そういえば教わった気がする。
でもあの時は親父が遊びに付き合ってくれているとしか思えなかった。そもそも魔術なんて知らなかったからっ!

「じゃなくて! 無理だっつーの!」

今思えばむちゃくちゃだな。俺の親。

そして親父に押されながらたどり着いた玄関。思い出したように親父は俺に言った。

「最後にひとつ、

   花本リンネには気をつけろ」

「はぁ?」


ここから、俺の常識から遠く外れた毎日が始まった。