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Re: 光のレナリ    二章、黒歴史!! ( No.137 )
日時: 2010/12/18 14:17
名前: 紅葉 ◆juofRO3qYc (ID: BfXEK8t.)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

ボリュームエイティーン

「リンネリット=メルサ様。御髪を。」

「ええ。」

憂鬱に過ぎていく毎日。

あの人の顔はもう、思い出せない。

せめて、

せめて名前くらいは、聞いておきたかった。

「メルサ様、本日のお召し物にございます。」

「・・・ええ。」

今日は、いつもの儀式じゃなく、

宴会を開くらしかった。

「今日のプログラムだよ、リン。目を通しておきなさい。」

「ありがとうございます、長老様。はい、わかりました。」

いつも樹の根元から動かない長老様までが来る、

それだけ重大な宴会。

「リンネリット=メルサ様。準備が整いましたら、ご入場をお願いします。」

名前の無い女が私に言う。

「さあ、行こう。皆が君を待っているんだよ。」

皆?

高い地位の者しか、居ないくせに。

「ええ。」









皆が集まる場所へと、歩みを進める。

一歩一歩、踏みしめるたびに、

大勢の神の中で孤独を感じる、自分の姿が

鮮明に浮かんで

恐怖が襲う。

少しずつ、近づいて、

とうとう

「こんにちは、みなさん。」

ついてしまった。

私の挨拶に、皆の視線が一気に私に突き刺さる。

「リンネリット=メルサです。どうぞ、宴会を続けてください。」

そんな適当な一言にも、

周りの歓声、拍手。

胸が痛い。

「メルサ様、お久しぶりにございます。」

「ええ。」

誰だっけ。

全然、覚えてない。

「リンネリット=メルサ様、お会いできて光栄です。」

「有難う。私もうれしいです。」

お決まりの

型にはまった挨拶を交わす。

こんなのに何の意味が

どれほどの価値があるっていうの?

「リン、ちょっと来なさい。」

長老様が、私を呼ぶ。

「はい、長老様。」

長老様の元に行くと、隣に見知らぬ男が立っていた。

男はこちらに気づくと、ニコニコと笑顔を向けてきた。

何?

「リン、彼が君のシルフィアだよ。」

「・・・え?」

今、彼が

シルフィアだって、言った?

「よろしく。」

そういって、こっちに向き直る男。

「でも・・・。でも長老様、私そんなの聞いてません。」

一瞬、あの人の顔を思い出して、

また、消えた。

「ああ、リン、もう決まったんだよ。」

「そんな・・・。」

落胆する私に、長老様はこういった。

「彼のことを知ってからでも、拒絶するのは遅くないさ。」

嘘。

そんなの嘘。

分かっているの。

ふさわしい相手を、長老様が見初めることくらい。

でも、こんなに急に・・・?

「はじめまして、リンネリット。僕は、・・・クラル=メルサリン。」