コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 光のレナリ 二章、黒歴史!! ( No.142 )
- 日時: 2010/12/21 21:46
- 名前: 紅葉 ◆juofRO3qYc (ID: BfXEK8t.)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
ボリュームナインティーン
「それにしても、驚いた・・・いや、驚きましたよ。おじいちゃんが長老様だったなんて。」
男が、笑顔を崩さず、何か昔話をするような口調で言った。
「ああ、身分を隠して子供たちと遊ぶのが好きでね。クラル、いまさら敬語なんてやめておくれ。」
長老様が、心底楽しそうに答えた。
「有難う、おじいちゃん。」
男が、小さい子供のように笑って、
「まさか、かのリンネリット=メルサ様のシルフィアを探していたんてね。」
崩れない笑顔に、寒気がした。
決して本性を見せようとしない、鋼鉄でできた仮面のような笑顔は、
何か底知れない恐怖感を感じさせた。
どうしてなんだろう。
こんなに柔らかくわらっているのに。
楽しそうに会話をしているのに。
「リン?どうした、ぼうっとして。どこか気分でも悪いのかい?」
「え・・・。いいえ、大丈夫、です。」
すべては、この"長老様"の采配の元。
私たちは、チェスの駒のごとく扱われる。
目の前で笑う男は、そんなことなど知らないのであろう。
・・・なんていったら、大袈裟、なのかな。
でも。
私にとっては、それくらいの大問題だ。
「リン、今回ばかりは、"あの子"に代わりをさせるわけには行かないのだから、ね。」
長老様は、私の耳元で小さくささやいた。
「はい、分かって・・・います。」
私が小さく答えると、長老様は満足げにニッコリと笑った。
「さあ、それじゃあ、後は二人で楽しんでおくれ。」
「え?長老様、ちょっと待って・・・。」
言い終わるまもなく、長老様は人ごみに消えてしまった。
二人で・・・って。
名前しか知らない相手と、どう過ごせというのか・・・。
「あの、・・・えっと・・・。」
私が言葉を詰まらせていると、男は少し笑い声をこぼした。
「緊張しないで、リンネリット。ああ、リンって呼んでも、良いかな? 僕は、クラルでいいからね。」
「ああ、はい・・・。」
「敬語もやめよう?だって、僕たちシルフィアなんだよ?」
「は・・・う、ん。」
「それでね、リン。君の事とかいろいろ知りたいんだ。出会ったばかりだし、ね。」
「そ、だね。」
早口にいろいろ言うクラル。
でも、私は全然ついていけない。
何で長老様はこんな人、選んだんだろう。
明らかに猫を被ってて、早口で、人の意見をまったく聞かないような。
こんな人。
「ごめんなさい・・・。ちょっと、いい、かな・・・。」
「ああ、いいよ。ここで待ってる。」
相変わらずの完璧な笑顔を崩すことのないまま、クラルはいった。
こんなのが、いつまで続くんだろうか。
星誕が終わるまで?
長老の代を受け継ぐまで?
それとも、
"私"が、消滅するまで、なのかな。
気が遠くなるくらい長いときを、同じように憂鬱に過ごすのかな。
そんなのは、嫌だ。
嫌。嫌、嫌!!
_________普通でいたい。