コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 光のレナリ 二章、黒歴史!! ( No.171 )
- 日時: 2011/01/16 20:43
- 名前: 紅葉 ◆juofRO3qYc (ID: BfXEK8t.)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
ボリュームトゥエンティーシックス
「・・・性別を捨てる・・・。だから、シルフィアは・・・」
シルフィアで無くなる。
そして、秘密保持のために消される・・・。
「明日・・・。」
怖い。
とてつもなく、怖い。
初めて、儀式が行われたとき、
自分のことを話して聞かされたとき、
宴会で名前も知らない神と対話するとき、
幾度と無く経験してきた不安とは、全然違う。
初めて知った。
恐怖と、不安の違い。
初めてだ。
他人のことで、こんなに怖くなるのは。
私が長老になるまで、あとどれくらいだったかな。
それが、クラルの余命・・・。
・・・短い、よ。
どうして、
話したことも無かった私に、命をささげられるの?
「やあ、おはよう、リン。よく眠れ・・・無かった、だろうね。ごめんね。」
「・・・どうして。」
「あ・・・。・・・それは、どっちの意味で?どうして契約書をみせたのか・・・か、どうして、僕が君のシルフィアになったのか・・・か。」
驚いた。
しかも、この上なく。
クラルがはじめて、
「・・・両、方よ・・・。」
笑顔を、崩した。
「そうか。そうだよね。・・・どうしよう。何から話したらいいのかな・・・。」
その表情は、すごく寂しげで。
「まず、僕が契約書を見せた理由だね。・・・僕は君に、分かって欲しかった。僕が、本気だってこと。・・・少し、誤解があるみたいだったから。」
今にも、消えうせそうな、
そういうものだった。
「あ・・・。」
困惑。
「君は、僕が君を利用しようとしてるって、思っているんじゃ、ないかな・・・?」
「・・・ごめん・・・なさい・・・」
紛れも無く、事実だ。
私は、そう思っていた。
そして、軽蔑していた。
勝手に、だ。
「いいんだよ。気にしないから。・・・僕はね、だまされてシルフィアになったのでもない。ちゃんと、全部知ってから承諾した。」
「・・・どうして、なの?」
聞いたはいいけど、
答えを聞くのが怖かった。
もしも、
もしも受け取れない思いを伝えられたら
私は、どうしたらいい?
「それは・・・、簡単だよ。なりたかったから。」
「なりたかった・・・?」
「そう。」
・・・そんなのは、おかしい。
「なりたかったから、命を、投げ出すの?」
思わず聞いた私に、
クラルは、表情を緩めて、言った。
「投げ出すわけじゃないよ。僕の命をかけるだけの、価値があるんだ。」
「それは・・・どういう価値なの?」
「そんなの、決まってる。」
クラルは、やさしく笑った。
「君と、一緒にいられる。」
それは、今までに見たこと無いような、
心のこもった笑顔だった。