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ボリュームエイト

「なぁ、クラル…。」

「ん？何さ。」

「俺帰るから。」

「…は？え？」

唐突に呟く俺の隣で、クラルは間抜け面よろしく返した。

「帰るって、お前、え？だってまだ途中じゃん。」

素っ頓狂の声を出したクラルを他所に、俺は無言で引き返す。

「おぉい!!なぁ、待てよ!!」

叫んで惹きとめようとしながらも、リンネリット=メルサの演説も聞き逃したくないと言った様子のクラル。

「私は、幸福を皆さんに与えたい。こんな高い位置にいては、何も見えません。」

遠くでまだ声が聞こえてくる。

違う。

これじゃない。

俺が求めているのは、こんなんじゃない。

やっぱり、あれは幻だったんだろうか。











俺が見たのは、幻想なのか？