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Re:の涙腺を刺激するもの ( No.12 )
日時: 2010/10/17 14:37
名前: 風菜 (ID: NhY/JZtF)

第2章 「彼女が述べる事」


担任教師が、黒板に汚い文字でそう書いた。

「っえぇ〜、今日からこのクラスの一員になる、水槻一琉さんだ。水槻、皆に挨拶をしてくれ。」



そんなに大きな声を出さなくても聞こえるし……。

僕はそう思いながら、教壇の右隣に立っている水槻一琉を見た。

水槻一琉は、口だけで笑っていた。

「水槻一琉です。早くこの学校に慣れて、みんなと仲良くしたいと思っています。宜しくお願いします。」

そう言って、水槻一琉は頭を下げた。

フッと僕は鼻で笑い、席を立った。

「お、おい、泉! どこに行くんだっ、まだホームルームは終わってないぞ! 」

担任の言葉に、俺はため息をついた。

「くだらない……。」

「なっ!? 」

「くだらない、と仰っているんです。」

教室がたちまち静まり返る。

「くだらないとはなんだっ! これは水槻のために行っている大事な事だぞっ! 」

熱く叫び返す担任。

「だから何なんです? どうせこの後は、水槻さんに自分の席の場所を教えたら、貴方はもう残りの生徒に水槻さんを任せて、職員室に戻るつもりなんじゃないんですか? 」





担任が口ごもる。
どうやら図星のようだ。この程度の教師がやることだなんて、たかが知れている。

「所詮、貴方のように生徒や上司に好かれたがりな教師がやる事なんて、そんなものなんです。最小の労力で、最大のメリットを手に入れようとする。今のも、最低限の事だけやっておこうという低レベルな考えです。」

そこまで言うと僕は、口元に笑みを浮かべた。

「そんなバカな教師に付き合いたくないので、僕は図書室で有意義な時間を過ごしたいと思います。」

いかにも忌々しい、といった表情で、担任は僕を睨みつけていた。









そんなのはおかまいなしに、僕は教室を出た。