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- Re: 僕の涙腺を刺激するもの ( No.140 )
- 日時: 2010/10/17 15:11
- 名前: 風菜 (ID: NhY/JZtF)
第13章 「確信」
「や……、泉く……。」
びしょびしょに濡れた僕を見て、あの女子生徒3人が口を押さえて、まるで何かに怯えているような顔をした。
僕はため息をついた。
「大丈夫? 泉くん。」
傍で水槻一琉が、不安そうに僕の体を自分のハンカチで拭いている。
「うん。平気。」
僕は前髪を掻き分けて答えた。
「少し冷たいけど。」
そう言って僕は、目の前の女子3人を軽く睨んだ。
「ご、ごめんなさいっ! あたし達……っ! 」
頭を下げた女子3人に、僕は言い放った。
「僕に謝るより先に、一琉に謝って欲しいんだけど。」
「……っ! 」
女子三人は、少し不満そうな顔をしていたが、3秒ほどしてから、素直に一琉に謝った。
僕は腕を組んで、彼女達を問い詰めた。
「で、何でこんな事した訳? 」
女子三人は、しどろもどろに答えていった。
「えっと……、泉くんと水槻さんが付き合ってるのかどうか確かめる為に……。」
「それを確かめる為に、何でコイツがびしょ濡れになるような事になる? 」
「それは……、水槻さんが泉くんとは何もないって……、付き合ってないみたいな事言ったから……。」
だんだんと彼女達の目が潤んでいくのが分かった。
「だから、君達は一琉が言ってる事が嘘だって、そう思ってこんな事になったのか? 」
自分の中の怒りが、収まらなくなって来た。
「ち、違うわ! 水槻さんが……、あたし達を侮辱するような事を……。」
「侮辱? 」
僕の冷たい声に、3人の体がビクッと反応する。
「水をかけようとした奴等は、君達のグループの一部だろう? 」
女子3人はカクカクと人形のように頷いた。
「水をかけるように指示したのは、君達? 」
またもやカクカクと頷く。
僕は笑った。
「そんな事をしたのに、よくこの後に及んで『侮辱』なんて言えるね。」
怒りが抑えきれなくなったのが、今、爆発する。
「自分達がした事の方が遥かに悪いのに、それを省みらずに、一琉がした事を『侮辱』。だから一琉に水をかけるように指示した……。」
「泉くん、もう言わない方が……。」
僕の体を丁寧に拭き終えた一琉が止めようとしてくれていたが、僕は止まらなかった。
「虫唾が走る。」
だから、僕は言ってしまった。
「とにかく、もうコイツに手出すの、やめてもらえる? 」
僕はそう言い残し、一琉の手を掴んだ。
「行くぞ。」
一琉に小さくそう言うと、僕はこっちを凝視して来る野次馬達の間を抜け、走り出した。
そして、僕は確信した。
だいぶ前、兄の響貴に聞いた事を思い出しながら。
『女の子を助けたいって思った時っていうのは、必ずその子に恋しちゃってるって証拠だぜ。』
僕は……。
一琉に恋してるのか。