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Re: 僕の涙腺を刺激するもの  ( No.178 )
日時: 2010/10/17 16:19
名前: 風菜 (ID: NhY/JZtF)

第17章 「忌わしい過去」


「っ……!!!」
家の玄関で、杏香は膝を突いて倒れた。

息が、有り得ない程乱れている。
吐き気が、尋常じゃない。

定まらない呼吸を荒くつきながら、杏香は言った。













「どうして一琉ちゃんが居るのよ……! 」

杏香の頭の中を、まるで走馬灯の様に、あの時の苦い光景が駆け巡っていた。










『伊吹、伊吹!! どうしちゃったのよ、伊吹ぃぃぃーーーーーーー!!!! 』











『息子さんの脳が回復するのは、絶望的かと……。』

『そんな……。どうしてうちの子がこんな目に……! 』








『全部一琉ちゃんのせいだわ……。 一琉ちゃんのせいで、伊吹は……っ! 』

『もうあの子に近付かないで!! 二度とあの子の傍に寄らないで!! 』
















————— 「っああ……。」

杏香の目から、再び涙が溢れてきた。

さっきとは違う、悲しい、冷たい涙だった。








「あああ〜〜……!! 」

今まで思い出さない様にしてきた、忌わしいしい過去が、杏香を苦しめた。

あの、苦しい、悲しい過去が。