コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕の涙腺を刺激するもの ( No.212 )
- 日時: 2010/10/17 15:35
- 名前: 風菜 (ID: NhY/JZtF)
第21章 「未完成の僕、未熟な創造」
また翌日も、一琉は学校に来なかった。
僕はもう落ち着いていられなかった。
(一体、何があったんだ……!? どうしたんだよ、一琉……っ。)
周りに集まって来る邪魔な女子達に見向きもせず、僕は頭を抱えた。
僕は一琉が携帯を持っている事自体は知っていたが、肝心な電話番号とメールアドレスさえ知らない。
そして彼女も、僕の携帯の電話番号、メールアドレスを知らない。
思えば、現在両親が居ない彼女は、何をして生活をしているのかという事、どんな暮らしをしているのかも知らない。
だが、一番気掛かりなのは、やはりあの出来事だ。
『もう俺達一家を苦しめないでくれ……!! 本当にお願いだから……! 一琉ちゃん……! 』
父のあの苦しそうな言葉が、僕の頭を何度も霞める。
どうして父の口から、『一琉』という名前が出てくるのか。
もしかしたら誰か別の人物かもしれないと思ったが、よくよく考えてみると、『一琉』という名前は、なかなかこの世間に在るものではない。
(じゃあ何故なんだ……? )
僕は考える他術が無かった。
やはり、僕の外見が変わった時に、彼女が発した一言の時背筋に感じた寒気で、僕は彼女を問うべきだったのかもしれない。
『君は本当に、何者なんだ? 本当に、ただの人間観察だけで、この日本に訪れたのか? 』
と。たとえ彼女の過去を知っていたとしても、それはもしかしたら嘘だったのかもしれないのだ。
雑誌記者等の者達には、一琉はあまり世間に顔を見せない一般人なのだから、取材に応じる答え等多少の嘘をついたってばれる事は無い。
ましてや、あのマイナーな科学雑誌だ。
記事を書いている本人達も、自分が書いている記事が売れない事自体有り余る程承知しているだろう。
だが僕自身の中で、大いなる計算のズレがあった。
それは、彼女に恋慕の情を抱いた事だ。
だから僕は、彼女を問い詰める等、到底出来なかったのだ。
だが今更、その気持ちを変えるのは出来ない。
だから、僕はなんとかして彼女が今どうしているのかを突き止めなくてはならない。
自身の中の強制の様なものだが、たとえ彼女の計算でも、僕は彼女が好きなのだ。
せめて、この気持ちを伝えたい、というの位、叶えたい。
その後、一琉が居なくなっても—————……。
『私は居なくなったりしないよ。』
「!? 」
『伊吹は心配性なんだね。』
(なんなんだ……!? またこの声か……!? )
『そうだよ! あたし達は絶対伊吹の傍から離れたりしないよ! 』
『だから、大人になっても仲間でいようって話! 』
(今度は前と違う声……!? )
そう思いながら、僕は前より酷くなった頭痛に顔を歪めた。
そして —————……。
『『『この場所は、大人になっても、永遠に秘密基地って事に決定!!! 』』』
一琉に酷似した、長い銀髪を垂らした幼い少女、栗色の髪が短い、何だか咲原結衣菜に酷似した少女、そして……。
色白の、まだ子供だというのに整った顔立ちだという事が分かる美少年が居た。
その三人は、揃って満面の笑みでこっちを見て、そう言った。
バタン!!!!
「泉くん!? どうしたの!? 」
クラスメイトの声は、僕には聞こえなかった。
何故かと言うと、僕があの頭の中の三人を見た瞬間、倒れたからだ。