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Re: 僕の涙腺を刺激するもの  ( No.238 )
日時: 2010/11/02 15:50
名前: 風菜 (ID: /R8fMwix)

『誰? この子。』
少年Aが問う。

『水槻一琉ちゃん。ここら辺に引っ越して来たんだって。』
少年Aの問いに返答する咲原結衣菜の顔は、どこか嬉しそうだった。

『ふーん。で? その一琉ちゃんをどうしろと? 』
少年が言った。

『もう、本当に伊吹は鈍すぎる!!!! 』
『あんだとコラ(怒)』
『ここら辺に住んでいるのは、あたし達だけって、あんたちゃんと分かってんの? この子と仲良くしたげようって言ってるの!!!! 』
『俺は分かってるけど? 』

少年Aが呆れ顔で口を開く。
『だよねー。普通理解するよねー。』
『おい、零てめぇ余計な事言うんじゃねーよ。』
『ハイハイ。』

このやりとりを見ていた一琉は、少し戸惑いながら聞いた。

『あの……。その、3人は、友達なの? 』
彼女のこの問いに、3人はさも当然の様に答えた。













『『『仲間!!! 』』』








明るい華々しい声に、一琉の目は大いなる輝きを帯びた。















————— 『あの……、じゃあ……、私の仲間に入れてもらっても、いいの? 』

『え? なんで? 当然じゃん。』
咲原結衣菜の答えに、残りの男子2人も頷く。

その行動に、一琉は泣きそうになった。

『じゃあ、宜しくお願いします。』

『あーーーー!!! 笑った顔めっちゃ可愛いじゃん!!!! 』

『え……っ。』

『これからもその顔見せてかなきゃ、損するよ!!!! 』
満面の笑みを浮かべて、咲原結衣菜は一琉の両手を握った。

この言葉に、一琉はついに涙した。












『ありがとう……。』













この彼女の涙に、3人は驚いた。そして、うろたえた。

『ごっ、ごめんっ。あたし、何か気に障る事言っちゃったかな? 』
焦る咲原結衣菜に、一琉は涙を拭いながら言った。

『ううん、何でもないの……。ただ、そんな優しい言葉をかけられたの、久しぶりで……。』

彼女のその発言に、3人は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに元の顔に戻った。








『そっか……。じゃあ、あたし達が、一琉ちゃんに、今まで言われ無かった分を埋める為に、いっぱい、いーーーーーーーっぱい、いろんな言葉をかけてあげるからね!!!!!! 』

一琉はこの言葉に、胸を救われた。






『ありがとう。』

今度は泣かずに、礼を言えた。











『よし、じゃあ一琉!!!!! 俺等のワンオンワンに付き合え!!!!! 』

ボール片手に、少年が叫ぶ。

『え……っ。でも私、スポーツできな……。』
『何言ってんだ!!!! 』
彼女の言動を遮り、少年は言う。

『仲間なら、これからいっぱい思い出作んなきゃなんねーだろ!!!!! その為には、苦手な事もやんなきゃなんねーの!!!! 』

そう言われ、一琉が決意した様に頷いた。

『じゃあ、頑張ってみます!!!! 』

『よし来た!!!! 』

一琉と少年は走り出し、あのストリートバスケットコートに向かった。
















この時は、僕はまだこの妙にリアルな夢を眠った状態で見ていた。

だが、頬に何か暖かいものが伝っていくのを感じてた。






















(これは、涙……? )













自分が涙を流せる時が来た事に、僕は驚いていた。

もう何年、泣いていなかったのだろうか。











そう思っていたら、胸に何か、懐かしい気持ちが入って来ていた。