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Re: 僕の涙腺を刺激するもの  ( No.249 )
日時: 2010/11/03 17:17
名前: 風菜 (ID: /R8fMwix)

現実からかけ離れた世界にいるような気がしてならない。
だけど、僕はどこか懐かしい気持ちを感じていた。

そして、涙を流していた —————……。












『じゃじゃーーーーーーーん!!!!!! 』
まるで夢の様な空間で、得体の知れないものを、僕はまだ見ていた。
その空間で、少し成長していた咲原結衣菜は両手を広げて叫んでいた。
その両手が示しているのは、おそらく、後ろにある古びた廃墟だろう。

かくして、両手を広げている咲原結衣菜の顔は、きらきらと輝いている。
だが、後ろにいる、咲原結衣菜と同様に成長した3人、少年、少年A、一琉の顔は、何かとても不快なものを見た様に歪んでいた。

『え〜????? ちょっと何?? その顔は!!!! 』
3人の反応が咲原結衣菜の不満を買ったのか、幼き彼女の顔は3人の倍以上に歪んだ。

その彼女の剣幕に負けたのかはどうかは不明だが、少年が気圧された様に唾液を飲み込むのが僕にも分かった。そして、そんな少年の様子を察したのか、少年Aが呆れた様子で言った。

『あのさぁ……。確かに俺等は、自分達だけの秘密基地を探すのを、お前に頼んだ訳……なんだけど……さぁ。』
そんな少年の声は、どこかたどたどしかった。

『そうよ。だからあたしは張り切って、こーーーんな素敵な秘密基地を見つけてあげたんじゃない。』
自信満々に、かつ堂々と言う咲原結衣菜。
多種多様な意味で、羨んでしまう。

『いや……。確かに、そうだけどさ……。』
下を向いて喋る少年。何だか物怖じしている。

『そこってさ……、幽霊が出るって噂の、廃墟になった図書館じゃん……。』

成る程。図書館なのか

というよりも、この少年が物怖じするのも、理解出来る。
とこどなく暗い雰囲気を放つ、この廃墟となった図書館。
流石の僕も、これには怯えてしまうだろう。

『男が幽霊なんかでビクビクしてんじゃないっ!!!! ドーンと行きなさいよ、ドーンと!!!!! 』
無理矢理少年2人の腕を引っ張る咲原結衣菜。

『いやっ! その、俺等じゃなくて、一琉はどうすんだよ!!!!! 』
咲原結衣菜に腕を掴まれながらも、少年は言う。

『あ、そっか……。』
不意を疲れたように、間の抜けた声を出し、いきなり腕を放す咲原結衣菜。
すると途端に、少年2人はコンクリートの床に崩れ落ちる。

『コイツ等2人はいいとして、一琉はどうする? ここん中、入れる? 』
((俺等はいいんだ……。))
咲原結衣菜の問いに、一琉は少し躊躇しながら答えた。