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Re: 僕の涙腺を刺激するもの  アンケート実施中!! ( No.268 )
日時: 2010/11/06 15:52
名前: 風菜 (ID: a32fGRWE)

『おっ、バスケの本はっけーーん!!!!! 』
『マジか!!!! 伊吹、俺にも見せろよ!!!!! 』

この廃墟に入って来てから、まだ数分しか経っていない。
だが、少年2人はすっかりこの廃墟に馴染んだ様だ。

『一琉っ♪』
『あっ、結衣菜……。』
文学図書のコーナーで、一冊の本を眺めていた一琉に、咲原結衣菜が後ろから声をかけた。

『何かいい本あっの? さっきからずっとこの本見てるけど。』
そう言って、咲原結衣菜は一琉が手にしている本を覗き込む。

『うん。小さい頃から好きなんだ、この本。まさかこんな所に置いてあるとは思ってなかったから、びっくりしちゃった。』
曖昧に微笑んで彼女が見せた本の題名は……。











『オラージュの怨念』









「————— えっ? 」

思わず僕は、この夢の中で短く唸っていた。

(これは、一琉が前読んでいた本じゃないか —————。)
そう思っていたら、少年が叫んだ。

『おい、一琉!!!! 』
『何〜? 』

答えながら、駆け寄っていく一琉。

『お前さ、これなんて読むのか分かるか? 』
そう言って少年が指さした文字を、

『The lieでしょ? 』
と、いとも簡単に答えた。

『んだそれ〜? どういう意味だよ? 』
『『偽り』っていう意味。』

『ふーん。』

一琉に教えてもらっても、少年はまだ腑に落ちないという顔をしていた。

そんな様子を横目で見つつ、一琉は文学図書のコーナーに戻った。

『凄いね、一琉。英語読めるんだ。』
さっきの光景を見ていた咲原結衣菜は、驚きの声を上げた。