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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕の涙腺を刺激するもの ( No.312 )
- 日時: 2010/12/04 13:07
- 名前: 風菜 (ID: EpPczols)
「伊吹が早く一琉に告れるようにって……。仕組んだのはあたしなんだ。ほら、伊吹が零に言われたでしょ? 早く言わないのかって……。それ、あたしが零に頼んだ嘘の台詞で、伊吹にそういう事言ってくれってあたしが言ったら、零は引き受けてくれて……。」
俺は黙って話を聞いていた。
「一琉を伊吹と零のいる場所へ出向かせたのも、あたしが仕組んだ事。最初はあんな自体引き起こすなんて思っても見なかった。ただ、早く2人がお互いの気持ちに気付けばいいなって……。その程度だった。」
グシャグシャに潰れた様な状態で結衣菜は涙を流した。
「あたしがバカだった……。一琉の、あの子の純粋さと、あの子が抱えてる『傷』に、気付いてやれなかった……。」
僕は目を見開いた。
「結衣菜、『傷』って、何の事だ? 」
俺がそう聞くと、結衣菜は納得した様に頷いた。
「そっか……。伊吹も知らないもんね。あのね、この事は、あたしだってあの事故が起こってからすぐに知った事なんだ。勿論、零だって知らない。」
心臓が高鳴っている。
脈が激しく打たれている。
何か重大な事を話す様な予感がした。
「あたしと零に、両親はいないけど、数少ない親戚がいるのは、伊吹は小さい頃から分かってるでしょ? 」
「うん。」
俺は言った。
確かに、零と結衣菜に両親はいない。
だが、親戚がいるのは知っていた。
今も昔も、結衣菜はその親戚の家に住んでいる。
零の元にも、親戚から月一回、綺麗な花束が贈られてくる。
そしてそれを、小さな頃から俺は知っていた。
「だけど一琉には、数少ない親戚もいない。肉親もいない。一琉は、幼い頃からずっと天涯孤独だった。」
天涯孤独 —————?
「一琉は、孤児だったんだ。」
一琉が……。
孤児 —————?
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