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Re: 僕の涙腺を刺激するもの   ( No.347 )
日時: 2010/12/16 21:12
名前: 風菜 (ID: mOKQW.49)

第32章 「仕掛けるよ」



「伊吹!!! 」
走りながら吹雪兄が来た。

「兄貴!!! 先に乗って!!!! 事情は父さんから聞いてるだろ? 」
俺もそう言いながら走り出した。
そう、ここはウチのジェット機乗り場だ。

「ああ、聞いてる! それより、ちゃんとその『訳』は、説明してくれるんだよな!!? 」
「ああ!!! 」
俺は無我夢中で走り出した。
とにかく、一刻も無駄に出来ない。

ガタン!!!!!

雑な素振りで俺と吹雪兄はジェット機に乗り込んだ。
そして、その中には既に父さんと響貴兄と結衣菜がいる。

「運転手さん、出してください!!!! 」
そう指示する俺に、父さんが血相を変えて言った。

「待てよ!!!! 伊吹!!!!! まだ母さんが……!!!! 」
その言葉に、俺は頷いた。

「母さんはいなくていいんだ。いや、いなくて当然なんだ。」

「!!? どういうことだ……!? 」

俺は深い息を一つついた。

「それを今、説明する。」

そう言うと、ジェット機内が緊迫した雰囲気で包まれた。


















「では、もう1度言います。改めて、初めまして。私は、貴方がご存知の通り、水槻一琉といいます。」

私は軽く笑って言った。

「ご丁寧にありがとうございます。私の事については既に把握し、ご存知のことと思いますので、あえて言わないでおくとしましょうか。」

暗い影で、相手も笑っているのが分かった。

「では手始めと言ってはなんですが、私からプレゼントを差し上げようと思います。」
私は傍の椅子の埃を払い、言った。

「ほう……。興味深いですね。是非お受けしようと思います。」

私は椅子に座った。
そして、背もたれの埃も払った。

「では、私の『物語』をほんの少し、そして貴方の過去の『物語』を大分プレゼント致します。」

私は背もたれに手をかけて、話し出した。