コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 僕の涙腺を刺激するもの   ( No.355 )
日時: 2010/12/19 14:05
名前: 風菜 ◆feeLWMpK0E (ID: mOKQW.49)

「私はある日、とある少年2人、そして少女1人と出会いました。行き場と居場所をなくした私を、彼等と彼女は、暖かく迎えてくれました。」

私は話し出した。

「日に日に私達の仲は深まっていき、完全に『仲間』と言える、互いがとても大切な存在になりました。そして私は、その仲間である1人の少年に、特別な感情を抱くようになりました。そしてもう1人の少女も、仲間である少年にそのような感情を抱くようになりました。幸い、私と彼女が同じ人にその感情を抱くという事にはならなかったので、世間で言ういわゆる『三角関係』にはなりませんでした。」

そう、この物語は私自身の過去の話だ。

「ですが、邪悪な悪魔が私達に襲い掛かりました。仲間である少女が好きな少年が、私を好きであると言いました。そして、私を奪うとも。私は生まれつき、飛び抜けた程のIQをもっていて、成長してからもそのIQが衰える事なく、やがてそれが公にされるようになりました。4歳になりたての頃です。それを嗅ぎ付けたたくさんの記者達が私の自宅に押し寄せてきました。」

あの時の騒音を思い出す。
インターホンが鳴り止む事がなく、取材させてください、という叫び声。

「それで、逆上した父が、私と母に、犯罪と言われるほどの暴力を振るってきました。そう、虐待です。『何であんな子供を産んだんだ、お前もお前だ、こんな面倒な騒動起こしやがって』とね、それで判明したことがあります。父は、極度のアルコール中毒、そして覚醒剤中毒だったのです。父は今までそれを実にうまく隠していました。」

私は目を伏せた。

「それが原因で、母は父と離婚しようと考え、説得しにいきました。私を安全な場所において。そして次に私が見た母は、たくさんの痣や打撲、そして所々が腫れている姿でした。……母は死んでいました。撲殺です。父が殺したのです。そしてその父も、覚醒剤を打ったまま、ラリって死にました。私は1度にいっぺんに肉親をなくしました。両親にも、肉親は誰1人といなかったからです。聞けば、母は、私を守ろうとして、父を説得したそうです。そして父は、記者が押しかけて来たことで私をあんなに殴ったくせに、今度は私のこの頭脳で金を稼げるかもしれない、と言ったそうです。そして私を手放すのを拒否した、と。そして私はショックを受けましたが、こんな私を引き取ってくれる家もなく、5歳になった頃、あの事件には無関係の所へ行こうと、やっとの思いで日本に辿り着きました。そして仲間と出会い、幸せな日々を送っていました。ですがそんな時に起きたその事件。」

この時、私の脳裏には、母の顔が浮かんだ。

「でも、理由はともあれ、2人が私をめぐって争った事に変わりはなく、2人は命を落とすという結果に陥りました。これを思い出し、私はあろう事にも少年2人を両親に重ねてしまいました。2人が、両方とも私を好きだと言ったからです。本来ならば嬉しい事なんですけれど……。今思えば、何と馬鹿な事をしたのかと思います。これが悲劇を生んだのですから。」

私は冷たい頬に、指を当て、なぞった。

「私は無我夢中で走り出しました。過去が脳裏で蘇えってきました。そして私の存在に気付いた彼が、私を追い駆けてきたのです。彼が追いついた時、私の後ろには崖があり、私は言い争いの結果、誤ってそこから落ちました。そして彼は落ちた私を庇い、私の代わりに深い深い奈落の底へと落ち……。」

私は伏せていた目を開けた。

「意識を失いました。」
















「ほう……。それはそれはお気の毒に。」

相手は口ではそう言ったが、本来は全くそんな事を思っていないようだ。



「私は彼の見舞い行きました。ですが、彼の母に、彼がこんな状態になたのは私のせいだと責められ、帰れとまで言われました。当たり前です。医師に、このまま彼の目は覚まさないとまで言われたのですから。そして相次いで、もう1人に仲間の少年も、彼を助けようとして崖から飛び降り、重態患者として病院へ運ばれてきました。そして私は、自分の意思で、彼から遠い地へと引っ越していきました。」

私は息を吐いた。
さすがにこの話をするのは、苦痛だった。




「そして高校生となり、入学した高校から、私は私情により転入した。そして転入先の高校のクラスには、私がかつて仲間だった彼女がいた。そして、驚くべき事に、彼もいた。ですが、彼は記憶を失っていた。あの頃の記憶が。」

私は言った。













「さて、ここからが貴方のストーリーです。」

相手はまたもや笑った。