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Re: 僕の涙腺を刺激するもの   ( No.387 )
日時: 2010/12/31 11:49
名前: 風菜 ◆feeLWMpK0E (ID: 6sQlqYA7)

第37章 「銀髪の少女」





「ダメッッッ!!!!! 来ちゃダメ!!!!! 」

苦しそうな顔でそう叫ぶ一琉。

「ダメって……。」
俺は小さく呟いた。

「何で助けちゃダメなんだよ!!? なぁ、そんなにお前は死にてぇのか!!? 」
俺はジェット機が落下した為に傷だらけになった体を震わせて叫んだ。

「……がう……。」
「え? 」

「違う!!!!! 私は死にたくない!!! 私はもう、伊吹の傍にいる資格がない!!!! 」
向こうで一琉が叫んだ。
その瞬間、大きな爆破が起きた。
ただでさえ赤く大きな炎がこの廃墟を包んでいるというのに、この爆破のせいで更に廃墟を包む炎が大きくなった。

「きゃっっ!!!! 」
「うわあ!!! 」
「うおっ!!!!! 何だっ!!!!! 」
「爆破か!!? 」

次々に叫ぶ兄さん達や結衣菜、そして父さんを横目に、俺はまだなお一琉のいる方向を見ていた。

「それに……。伊吹はまだ、思い出してない……。」
「え……? 」

僅かに聞き取れるか聞き取れないかぐらいの声で、一琉は言った。

「本当は……。……だけど……。」

その時、一琉の目から一筋の涙が伝っていった。



















「—————。」

















そう言い終えると、一琉はくるりと踵を返した。

「おい、伊吹、お前、大丈夫か!!? 」


突っ立っている俺を心配したのだろう、父さんが叫んだ。

だが、当の俺はそれどころではなかった。





















「何だ……!!? 何を『思い出してない』っていうんだ……!!? 」
俺は頭を抱えた。

「おい、伊吹……。」
そう心配する父さんの言葉も、俺の耳には入らなかった。

(しかも……。あんな事を言って……!!!!! )

さっき一琉が言っていた言葉を俺は反復した。

「あいつは……!!!! 本当にこのまま一生を終えるつもりか……!!!! 」

そう叫んだ瞬間、



















「うわああああああ!!!!! 」


激しい頭痛が、俺を襲った。

まるで、あの今までの記憶を取り戻した時のような。


そして、俺の頭の中に、映像が流れだした。

















『君、何処から来たの? 』



















「!? 」


















屈託のない、笑顔で笑う少女……。

その少女は……。


















「銀……髪……? 」





















俺は呟いた。



















「一琉……!!? 」